フィルム、自家現像してますか?当然ですよね?モテていますよね?
最近DM開いてなかったな!待たせたな!#自家現像はモテるぞ pic.twitter.com/BF4AI8s3z1
— アレモコレモ (@_aremokoremo_) 2022年10月17日
この記事を書いたのも2014年。8年前かー。
更新に更新を重ねてきたけれど、そろそろ書き直しかなと。
この期間に現像用品も無くなってきているし、現像液、フィルムも無くなってきているのでちょうどいいかなと。この8年でフィルム写真も結構衰退したねー。
モノクロフィルム自家現像にニーズがあるかないかと言えば、すこーしだけあると思うので書いてみようかなと思い立ったがハッピーデイ。
目次
目的
なぜ自家現像をするのか。かっこいいから。モテたいから。自慢できるから。自己顕示欲を満たせるから。いいねがいっぱい欲しいから。理由は何でもいいのよ。
え?作品だから全部自分でやりたい?それも正解。私も好きな写真家の北井一夫さんにぜひ自分でやってほしいなと言われて始めた感じ。作家みたいでかっこいいって思ったもんね。
やっぱり作家だったら、撮影から現像、プリントまで自分でやってエディションつけないとね。プリントを買う側にすると最低でもエディションは欲しいかな。
じゃあ、ブレッソンは?とか言わないの。プリントするのがあまり得意じゃない人もいるのよ。ガスマン様様。
書くのも喋るのも上手な人って少ないでしょ?撮るのもプリントするのも上手な人はほんの一握りよ。あとは趣味。
まぁ堅苦しいこと抜きにして理科に実験だと思ってやるのがいいよ。料理より簡単。
既にフィルム関係は高い物なので、コストパフォーマンスはここでは語らない。趣味にコスパは禁忌。一番相性が悪い。
無駄なことをするのが趣味だからね。無駄ができるうちは生きているってことさ。
その場でお金払わないので無料と勘違いできるぐらいよ。
現像も最近はお店に出すと待ち時間が長くなった。1週間待ちとかザラなんでしょう?
やっぱり待ち切れない。自家現像ならすぐに見られる。何ならその日のうちに。
朝に撮って、昼食前に現像して、昼食食べて乾燥させて、スリーブにしまって夕方以降はプリントまでできる。スキャンもできる。
スキャンができたら夜にはSNSにアップしていいねがいっぱいつく。いいね!
あとは自己責任だから許せる。お店に出していた頃は失敗されたことがあって、でもそれっていくら怒っても撮影した、現像したフィルムは戻ってこないのよね。これって誰でも失敗はあるので怒っても仕方ない。
で、この怒りのやり場が自分に向けられるのなら自己責任の名の下、自家現像ができる。最初に現像液を入れるはずなのに定着液を入れてパーにするとか。それでも最後には許さないと自分が自分でいられなくなるぞ。強制的に許される。
がんばれよ。
自家現像に必要なもの
私が自家現像を始めたのが2007年。この頃はいっぱい現像用品もお店で売っていたし、いっぱい選べた。
かれこれ、15年?どんどん現像用品も無くなっているけれど、まだまだ選べる。
現像タンク
ステンレスがおすすめだけれど、もうないか。
中古でも良いが歪んでいるのもあるかもしれないから注意して選んで欲しい。蓋とタンクの相性が悪いのもある。
最初は新品の方が楽かも。もしくはいらなくなった人からもらうとか?
リールも"巻き込み型"しか無くなっているので、ステンレスの頃のような苦労も少ないと思う。
パターソンも定番ね。
私が今使っているのはこれ。LPLやパターソンと同じ巻き込み型のリールで1本現像するのに250ccでできる。パターソンは290cc。LPLで300ccか。
この辺は好みでもいいと思う。一番手に入れやすいものでみんなが使っているものでいいと思う。
マスコタンクとか欲しくなるのはこの後ぐらいだしね。
ダークバック・チェンジングバック
これがないとほぼ自家現像は無理。真っ暗闇が作れるのならいいけれど、それでも不便でしょう。
私はエツミのを使ってる。Lサイズを薦める。作業しやすいので。
一つ確実に言えるのはしっかりしたものを買えということ。これ少しでも穴があったりしたら全てパーになるから。これだけはしっかりしたものを買ったほうがいい。
フィルムピッカー
これ。ダークバッグの中で缶切りでフィルムのパトローネを開けてもいいけれど、明るいところでフィルムピッカーでベロ出ししたほうが楽よね。
万が一、フィルム装填失敗してベロ飲み込まれてもこれがあれば大丈夫だしね。舐めるとか方法もあるらしいけれど私は失敗したのでこれを2本目買ってカメラ鞄に入れてる。
もう堀内カラーのしかないのね。選べない。
温度計
迷わずデジタルを選んでおけ。
タイマー
これも100均じゃなくてしっかりした防水のを買っておいた方がいいと思う。
フィルムクリップ
まあまあ高いけれど、洗濯バサミでも代用できる。あれば便利だとは思う。
私は2組持っているけれど、現像時に足りなければ洗濯バサミにしている。
カップ
こういう1Lのカップ現像液、停止液、定着液で最低3つ必要。
これは100均で十分。
500mlの計量カップがあると現像液を作る時に楽。
漏斗
これも一個あると役に立つ。
ディスポーザブル手袋
使い捨ての手袋があると色々使えるよね。手荒れする人はなるべくつけた方がいいかもね。
エプロン
エプロンなんかいらねーと思ってたけれど、案外スウェットとかダメにしたので、エプロンつけてみたら結構跳ねて染みが出てきていて、ああ、もうこれは手放せないと思った。
ゴーグル
これあると色々楽よ。コロナ禍になった頃なんか手に入らなかったからな。
現像用薬品
現像液
これは本当に好き好きでいいと思う。物によって仕上がりが全然違うから。
私は楽ちん簡単でT-MAX現像液にしている。中国製造になってから値下がりしたね。
D-76も定番らしいがあまり使ったことがない。溶かすのがめんどくさいの。
あとはRodinalとかも使っているけれど、どうかなー。完全に好みだな。
現像液は何か一種類を定番として、そこから色々試すと違いがわかって面白いかもね。今しか選べないしね。
あとは環境にいいとかでKodakのXtol(ヨドバシ.comリンク)もあるけれど、如何せん5Lしか売っていないので5L一気に溶かす方法が思いつかないぞ。味噌の醸造攪拌みたいになりそうだ。
まず、5Lも保存できる自信がない。
あとは富士から出ているスーパープロドールか、
ミクロファイン。アクロスとの相性は素晴らしい。
他色々出ているので好みのものを見つけて欲しい。みんなが使っているからとりあえずでもいいと思う。
2022年11月4日追記
コダックアラリスジャパンが日本国内でのケミカル(カラーペーパー、カラーフィルム、白黒ペーパー、白黒フィルム処理用)の販売終了をアナウンスした。
https://www.kodakalaris.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/Kodak_chemical_EOS_20221031.pdf
これでコダックの日本国内向けの現増液などは終了となった。
追記ここまで
停止液
これは水でもいいとは言われているけれど、そんなに高いものじゃないので専用品買ってもいいよね。
これなんか1+39なのでいくら使ってもなくならない。色が変色したら交換って言われているので使い捨てじゃないのだけれど、色が変わったことがないので使い捨てにしてるぐらい。それでも一年は持ってる。
ちなみにILFORD製品はサイバーグラフィックが代理店で、ILFORD Japan製品は中外製薬ね。ややこしい。中身は一緒だと思われる。
臭いが全くしない、クエン酸のみの停止液もある。希釈は1+19とこれまたいつ使い終わるかわからないぐらい。
これも色が変わったら交換と言われて使ったがいくら使っても色が変わらなかったのでこれも使い捨てにしてる。
富士の停止液が一番臭いがきつかったと思う。今探したら無くなってる・・・。
100均一でクエン酸買ってきて溶かしてもいいかなと思う。クエン酸15gを1Lの水に溶かせばOK。
定着液
いつもこれ使ってる。1:4の1L溶液で24本。なので500mlで12本。250mlで6本もできる。半分にしても十分だな。
これ、富士の"硬膜化"とイルフォードの"非硬膜化"があるんだけれど、色々なフィルムで撮るのなら非硬膜式の方が楽かなーと。水洗時間も短い。
追々、プリントもするのなら非硬膜化の方を選んでおいて損はないかなと。
水洗時間は5~10分。
http://www.ilfordphoto.jp/products/datasheet/ILFORD-CHEMICAL.pdf
こちらを参照。
富士の定着液。
水洗促進剤
定着後、これに1分浸けるだけで水洗時間が短縮できるというもの。おすすめ。2Lで100円しない。色がブルーなので、色が変わったら交換ということらしいが、今まですごく変わったなーと感じたことがないのである一定の期間で交換している。半年とか。
水滴防止剤
これね。ずっとこれを使ってきているけれど、ダラーとシミが残ったりしている時がある。
これも使い回しできるようだけれど、毎回使い捨てにしている。
色々調べるとAGガードを使っている方も多いようだ。
平たく言えばドライウェルは洗剤と同じ水面活性剤で水切りをする感じ。
水洗だけならスポンジで拭き上げてもいいかなと思う。
最後にAGガードで塗布みたいな流れかな。今度やってみよう。
薬品タンク
それぞれの薬品を保管するボトル。必要数。最低でも現像液、停止液、定着液の3つ。
薬品の保管について
薬品は小さなお子さんがいる方注意。もし誤飲したら速攻救急外来なので、手の届く所には置かない方がいい。もしくは仕舞ってある棚は鍵をかける。それぐらいはやるべき。
現像の流れ
私のメインフィルムILFORDのHP5+の場合。現像液はT-MAX現像液の1:4、20度。
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温度 |
時間 |
その他 |
現像液 |
20度 |
6分 30秒 |
30/60/3=最初30秒連続攪拌、1分ごとに3回攪拌 |
停止液 |
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30秒 |
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定着液 |
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3分x2 |
一度定着終わったら1分水洗して再度3分定着をしている。 |
水洗 |
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5分 |
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このあと乾燥。ホコリ付着防止にお風呂上がりで湿度のある浴室が良いと思う。
準備から乾燥のために吊るして片付けるまでおおよそ30分から40分あればできる。
現像時間については説明書以外ならここを見ている。
Massive Dev Chart Film Development, Film Developing Database
アプリも出ていてこういうのも使いやすいようだ。
Digitaltruth Photo - Massive Dev Chart Film Developing App
ILFORDから大まかな流れが動画で出ている。
自家現像時の廃液処理
廃液処理についてはこちらで。自治体に問い合わせるように。
ちなみにうちの自治体は紙などに染み込ませて燃えるゴミで捨ててくださいとのことだったので"吸水シート"に染み込ませて捨てている。
これで500ml吸収。みんないつかお世話になるんだからな。今のうちに触っておけって。
重要なのは決して"産業廃棄物"扱いしないように。あなたが"趣味"でやっている限り、"産業"じゃないからな。気をつけて。
産廃処理業者に渡すとか違法なことはしないで気持ちよく現像しような。
リール巻き
最初は一番これに戸惑うかもしれないけれど、慣れれば鼻歌ものだから。その頃に現像ミスするから注意な。
この動画が役立つと思う。
全暗黒でやるのが前提だからね!
あとは試行錯誤して自分なりの手順でやりやすいようにやっていくといい。
基本はキュッキュとキツくじゃなくゆるゆる。押し込むように。フィルムの間に隙間がないと薬品が入っていかないからね。
ネガの保存方法について
ずっと、ビニル製のコクヨのネガシートに入れてきたけれど、ある時に「ビネガーシンドローム」というのを知ってから"ペルガミン紙"のものに変えた。
ビネガーシンドロームについてはこちら参照。
今はこれを使っている。バインダーも一緒に購入している。200枚収められるので年間40本とっても5年使えるな。昔は年間200本撮っていたんだが・・・。盛者必衰、栄枯盛衰ってやつだわ。
本のススメ
こういう本を一冊持っているといいと思う。キホンのキが書かれてるから。
今、これだけフィルムが衰退したのでやるなら今しかないと思う。これからどんどんフィルムの銘柄は減っていき、薬品も選べなくなり、どんどん衰退し、高価なモノになっていく。
いつかはデジタルカメラに移らざるを得ない時が来るとは思うが、もう少しフィルムで遊びたいなと。
さぁさぁ、思い立ったがハッピーデー!
廃液処理についてはこちらで。