モノクロフィルムを自家現像する方法と必要な物

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2022年1月25日 追記:自家現像のコストについて

2021年2月7日 追記:ダークバッグのサイズについてM→L

2020年5月23日 更新 現像時の廃液処理についてのリンクを追加

2022年10月23日 2022年版更新

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私はフィルム写真が好きでメインのカメラはフィルムカメラ。特にモノクロフィルム。

カラーはデジタルでもいいかなと思えることがあるけれど、モノクロはフィルムの方が好き。モノクロフィルムは撮影、フィルム現像、プリントと自分で行っている。

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もともと手先は不器用な私。小学生の時、定規を使って線を結んでも四角が描けなくて泣いた。

しかし、フィルムの現像は出来の善し悪しは別としてなんとかできている。

フィルム現像は水場があれば誰でも出来ると思う。モノクロフィルムを現像しませんか。

目次

なぜ自分でフィルム現像をするのか

自分でやっていますと言うと「かっこいいから」に決まってる。なんかかっこいいよね、「自分でやっています」ってフレーズ。

大体、カメラ屋さんで自分でやっていますと言うと「偉いねー」とか褒められる。単純にうれしい。

自己肯定感が高まる事請け合いだから。承認欲求も満たされる。それぐらいで満たされてた方が健康に良いから。絶対。

安い、簡単、早い

前は本数を撮る方だったので(1ヶ月で20本ぐらい)、自分でやった方が安いし、早かった。

現在も撮影本数が減ったけれど自家現像してる。週一日撮影して、月に4本撮ったとしても、フィルムトータルコストは月5,000円もかからない。

現像道具の初期コストはすぐに取り戻せると思う。

ー2022年1月25日 追記ー

この記事を書いた2014年9月から8年経った、2022年1月現在は「本数撮るから自家現像」じゃなくて、フィルムの値段と現像薬品、器具など高騰から考えるとやっぱり「かっこいいから自家現像」が正解かと思われるぞ。週に1本程度じゃコストなんか見合わないね。

趣味はコスパで考えるなよ。

あとはこだわりね。「作品」作る人は。

ー追記ここまでー

行程もそんなに大変じゃない。慣れればテレビ見ながらでもできる。

本数が少なくても自分でやる方がきちんと自己完結できるので納得できる。自分の写真なら撮影からフィルム現像、プリントまでトータルで行いたいから。

あとね、インスタとかツイッターに#selfdevelop #自家現像ってハッシュタグが入れられる。これもかっこいいね!いいね!ボタン連打。

意外に簡単で楽しいんだよね

ネガが出来上がっているのを見るとおお、写ってるって。

薬品だって危険じゃないと言えば嘘だけれど、そんなに怖くないし、行程は小学校の理科の実験レベル。

ちょっとした感動を味わえるので脳に刺激があるのと手先を使うのでボケ防止。超高齢化社会への抵抗。

私は結果的に普通に現像できれば、雑でもかまわないと考えてるから気楽。

安い。これが一番デカいかな

現像するための薬品などを購入する時に支払いは生じるが薬品は(溶かさなければ)結構保つので、トータル的に安い。

でも、本数を撮らないとなかなか元は取れないかな。

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長巻、バルク、長尺フィルムなどと呼ばれるものを使うのも手だし、

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個人輸入すると安い。あんまり割り算しない。

趣味は無駄遣いする事と同義。

こだわって自分でやるのも趣味の範囲。こだわるのが趣味の醍醐味でしょ。

ハイブリットカーと同じよ。ガソリン入れる時に安いと思うでしょ?モノクロ自家現像は目先の安さだけ。

現像に必要なもの

現像タンクとリール

中古で十分。中野に行こう。オークションにも一杯出てる。

中古品は蓋が外れやすいものがあったりするのでその辺り注意。

手で持ったら蓋からスポッと落ちて、全部感光ってこともあるからね。

ステンレスがあったんだけれど、プラだけになった。(2019年10月14日追記)

こっちのリールは楽だよ。でも好みかなぁ。

こっちは少し現像液が多く必要。2本で650cc。ブローニーで590cc。

1本用は375cc。 

このリールは巻きやすい。 

あとはパターソンとかJOBOもあるけれど、2022年現在、私はJOBOタンクしか使っていない。

www.silversalt.jp

ダークバッグ

これは一回り大きいのを買っておくと作業しやすい。

私はMを使ってる。性癖ともあってる。

2021年2月5日 追記:間違えました。Lでした。Mだと持ち歩きレベルでした。

 

夏は汗だくになるので手早くやろう。練習あるのみ。

フィルムピッカー

これも現像始めの"ご祝儀"に買ってもらおう。一番安いのでいい。

 フィルムピッカーって一家に一本はあるよね?

現像薬品

 液状の方が楽。後々こだわれば良い。

コダックなど色々使い回し出来るのがD-76。昔から使っている人が多い。

2023年4月現在、コダック現像薬品は販売終了 

安さならフジのSPD。

停止液

1リッターで30ccとかすっごい使える。ま、水でもいいとか言われているけれど。

匂いがダメな人もいるからクエン酸を1リットルに15gでもいい。

www.silversalt.jp

最近はこればかり使ってる。クエン酸停止液で披露してくると色が変わるらしいが、変わったところまだ見たことないので、数回使ったら捨ててる。

これも色が変わるタイプ。匂いも少ない。

 定着液

 これも「非硬膜」と「硬膜」があるけれどどっちでも良いと思う。手に入れやすい方。

フジは硬膜。

イルフォードは非硬膜。私はどのフィルムでもこっち。

イルフォードは硬膜は使えないとまで書いている。

イルフォードのデータシート。

http://www.ilfordphoto.jp/products/datasheet/PLUS-F.pdf

また、水洗時間も短い。5分~10分ほど。

水洗促進剤

 安い!青くてきれい。ブルーハワイみたい。飲まないように。

これを使うと硬膜定着液でも水洗が5分ほどで済む。

水切り剤 or スポンジ

 水洗したフィルムの水を切る薬品。

もちろんスポンジで吹き上げてもいいけれど、私はメンドクサイのでこっち。

手が荒れる事もあるので注意。

東レ・ファインケミカル セルローススポンジ P245
 

手が荒れやすい人はスポンジでもOK。

薬品ボトル

必要数。

始めはいっぱいお茶とかを飲んで、ペットボトルを使ったが結局は専用ボトルに切り替えた。

でも、ペットボトルは飲み物と同じ形しているので誤飲の恐れがある。

やっぱり薬品は薬品用のボトルに入れるべきと思う。

ぱっと触って、これは違う。薬品のボトルだとわかるものにした方がいい。

薬品はお子さんがいる方注意。もし誤飲したら速攻救急外来なので、手の届く所には置かない方がいい。もしくは仕舞ってある棚は鍵をかける。それぐらいはやるべき。

 

 漏斗

 100均で十分だけれど。

温度計

ステンレスがいいよ。割れにくい。

あと見やすさだったら、料理用とかのデジタル温度計でもいいと思う。

防水を買った方がいい。

フィルムクリップ

現像したフィルムを吊るすときの重し。

洗濯バサミでもいいけれど。あった方が良いかな。

私は5年程洗濯バサミだったけれど、こっちに変えてから最初からこっちにしておけば良かったと思った。

ビーカー

 1リッターの。100均でいい。とりあえず現像液、停止液、定着液の3個。

タイマー

防水がいい。100均のはすぐ壊れたからある程度の方がいい。

スマホのタイマーを使っている人も多いみたいだけれど、濡れた手で触るのは気になるでしょ?

バット

たけー。100均で。液体の色が見えるから白がいいよ。

別に全て専用品じゃなくていいと思う。私は結構100均で揃えたから。

買う所、買う物で変わってくるがトータル1万ちょっとあれば始められる。

昔は自家現像していたけれど、今はもうしないからあげるよって言う「親切なおじさん」が現れればもっと安い。 

目の保護

やはり現像するときの薬品は目に入ったりすると危険なので、ゴーグルを使って目を守りたい。

万が一、薬品が目に入ったら、速攻流水で15分以上洗浄し、救急外来だ。病院に行くときは目に入った薬品(の袋、容器)を持って行くこと!(何が目に入ったのか正確に伝わる)

先に述べた、子供に対する薬品の保管と同じで自分も守ろう。 

私は昔やっていたサバゲー用のゴーグルを使っているが、これぐらいのものでも大丈夫だと思う。 

SPDの安全データシート 

https://www.fujifilm.co.jp/msds/no4/msdspdf/EG320109G03JP.pdf

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D-76の注意書き、いや「警告」を貼っておく。この中身が治療には必要になると思うので袋だけ取っておいてもいいかもしれない。

手袋(ディスポ=使い捨て)

 

手荒れなどを防ぐ為に手袋も必要だな。

エプロン

あと汚れてもいい服、エプロンなども。私は100均で買ったエプロンを裸でつけている。

うむ、憧れの裸エプロンである。

現像行程

全ての行程は明るい所でできる。

以下、現像の流れ。

場所は水がある所だったらどこでもいい。風呂場で「全裸」でやってもいい。

  1. フィルムをカメラから出し、ダークバッグ内に入れ、タンクとリールも入れる。
  2. テレビでも見ながら、ダークバッグ内でリールに巻き、タンクに入れる。
  3. 鼻歌を歌いながらダークバッグから出したリールに液温を合わせて用意しておいた現像液を注ぐ。
  4. 規定の時間(薬品とフィルムにもよるが7分とかそんぐらい)を撹拌して、1分に一回の撹拌なのでその間暇なので一杯飲む。私は下戸なのでお茶飲んでる。
  5. 時間が経って現像液を排出したら、停止液を流し込む。30秒ぐらい振るだけで良し。飲む暇はない。
  6. 停止液を排出。停止液は使い捨て。定着液を注ぎ込む。だいたい1分ごとの撹拌を3分ぐらい。(薬品による。)
  7. 予備水洗を1分。QWに1分浸ける。その後水道水で水洗を5分。
  8. ドライウェルに2~30秒浸けて、フィルムクリップを付けて吊るして干す。もしくはクリップで吊るしスポンジで拭き上げて干す。このとき感動。きちんと現像が出来ていればコマに絵が写っているはずだ。

吊るす場所は風呂入ったあとの風呂場がいい湿度があってホコリが付きづらいから。

最初は紙に流れを書いて冷蔵庫とかに貼って見ながら現像するといい。

一日の流れとしては撮影→夕食→風呂→現像→寝る→朝、乾燥したフィルムを取り込む。

そして撮影→ループ・・・。

これは写真を撮っている者の儀式である。

最後にネガアルバムに仕舞う。

廃液処理について

まことしやかに自宅で趣味で自家現像をして出た廃液は「産業廃棄物」とネットには溢れているが、これは過ちで、「一般廃棄物=一般ごみ」である。

つまり、あなたが自家現像を「趣味」で行っているのなら、その廃液は一般廃棄物である。

「一般廃棄物を産業廃棄物業者が処理すると違法」になる。

廃棄の方法は住んでいる自治体に問い合わせること。

自治体が薬品の内容がわからないということなら、使っているメーカーのSDSデータを添付して改めて自治体に尋ねると廃棄方法を教えてくれる。

私の住んでいる自治体は「布などに染み込ませて可燃ゴミで捨てること」だった。

現像時に出る廃液処理についてはこちらに改めてまとめた。

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ネガファイルとネガアルバム

 

2018年 12月30日 追記

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最近、「ペルガミン紙」というネガファイルがあることを知った。

ビニルに比べて湿気が溜まらないらしい。

ペルガミン紙 35mm用 10枚 Pergamin 35mm 10pcs [PERG35] - 350円 : Silversalt - Your Analog Specialist

ペルガミン紙 120用 10枚 Pergamin 6x7 10pcs [PERG6x7] - 350円 : Silversalt - Your Analog Specialist

ネットにアップするならその後スキャンしてもいいし、お店でCDに焼いてもらってもいい。

私はこれを使っている。

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スキャン、プリント時のネガを触るときの手袋について

ネガを扱うときに素手で触ったりすると手の脂がついたり、指紋がついたりするので、手袋を使った方がいい。

特にスキャン、プリントするときに必要だと思う。

手袋だが、多くの人が「綿100%」の手袋を思いつくかもしれないが、ここは専用品を使った方が楽。

何が違うかと言うと「静電気を呼ばないのでホコリがつきにくい」ということ。

今まで綿のものを使ってきて、こっちに変えてからだいぶ楽になった。

特にスキャンの時に楽になったのでオススメ。

動画も見ておく

と、まぁ文字にすると大変そうに見えるかも知れないが、動画も見つかったので貼っとく。

そんなに大変じゃないよ。トータル1時間もかからない。自分で撮って、自分で現像するとホント感動するから。

慣れるとめんどくさくなって、10本とか溜まっていつ腰を上げるか悩みだすけれどね。

引き出しに未現像フィルムが15本も入っているのを見たら、そのまま静かに元に戻すのが「決まり」で20本ぐらいになったら観念して一気に現像して腰を痛める方向で。

www.youtube.com

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2019年2月18日追加

ILFORDも最近アップして頑張ってるなーって。

あとは本で読むといい。ネットより手にとって本で読んだ方が理解しやすい。

 

 

暗「殺」技法と空目する

こう言う本を 一冊持っているといいかも。古いなー。

ブックオフで買おう。売ってるかな?

本から手順をA4の紙に、

1.現像液 7分

2.停止液30秒

3.定着液3分

とか書き出して貼っておくと楽。

参考にしているサイト

B&W Film Developing Times | The Massive Dev Chart

世界中のモノクロ写真愛好家が見てる。

フィルムと薬品の現像時間データが載ってる。

Film Development Timer for iPhone, iPod Touch, iPad & Android

アプリでも出ていて、フィルム選択から現像液選択、現像時間まで全てコントロールできるので便利。1000円の価値はある。

www.youtube.com

tokyo-photo.net | wet process black and white photography

超有名。すっごい情報量。真面目に取り組む人に。 

最後に

最初はおっかなびっくりだけれど慣れれば簡単。

慣れると凡ミスですべてをパーにすることもあるので注意。

現像液を入れたつもりが定着液で全て消すということも経験するだろう。

しかし、更にプリントすればこれからRAW現像を本格的に取り組む人にも役立つと思う。

アナログの感覚がPhotoshopで「覆い焼き」などのテクニックにも役立つはず。

私はそう。

長文になってしまった。参考になれば幸いです。

合わせて読んでおいて欲しい

aremo-koremo.hatenablog.com

 

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