4本の未現像フィルムの存在があることは知っていた。
そのフィルムたちが常にこちらをみている気がしていたので、先日、やっと重い腰を上げて未現像フィルム4本をリールにだけにでも巻いておこうと思い、ダークバッグの中で巻き巻き。
TVを見ながら鼻息交じりにすっ、すっと巻ける。はい、LPLのタンクで2本OK。
そして、久しぶりの"4本現像"なので残り2本パターソンのタンクにした。
長らく使っていないリールだったので少し手こずったが巻けた。
さ、これでOK。
ダークバッグのチャックをじーっと開けてタンクを出そうかと、パッと見ると、そこには蓋が開いた状態のタンクが。
はっ!?と思わず、小さく叫んでしまった。
一瞬固まったがすぐにチャックを閉め直そうとするも、手がうまく動かない。
ああ、ああ、ああ、ああ、あああああああ!ちくしょうめ!と叫びそうになった。
もう感光してるよと、映画で一生懸命死んだ人に心臓マッサージをしているのを止める人のようなセリフを思い出しつつ、静かにチャックを閉めて蓋をした。
終わった・・・。
結局、LPLのタンクのものは問題なく現像できたが、パターソンのは真っ黒だった・・・。
どんより・・・。
せっかく内房で撮ったのに昼から晩まで絞ったのと開放と全て撮れたのに!その中の写真で木村伊兵衛賞も取れたのに!
ちなみに写ルンですで撮った記事はこちら。
ね?昼から晩まで。
カメラはあのノルマンディーでキャパも使った、Contax IIとBiogon 3.5cm f2,8(レンズは135mmだったらしいが)だった。
そんなカメラで砂浜で撮ると、ここはノルマンディー!?
今回の現像ミスで、ああ、歴史的作品が〜!と思ったが、考えてみたら、キャパの例の「ちょっとピンボケ」の表紙の写真たちも現像ミスでああなったんだと、思うと、無理矢理、現像したものをここの載っければ、「ちょっとピンボケ」以来の超大作になるかも知れん!
1944年にはノルマンディー上陸作戦を取材。第1歩兵師団第16連隊第2大隊E中隊に従軍した。最大の戦死者を出したオマハ・ビーチにてドイツ軍と連合軍が入り乱れる中、100枚以上の写真を撮影した。しかし現像の際に興奮した暗室助手のデニス・バンクス[8]が乾燥の際にフィルムを加熱しすぎてしまったために感光乳剤が溶け、まともな写真として残っているものは11枚しかなかった(8枚という説もある)。これが後に彼の写真著書『ちょっとピンぼけ』のタイトルに反映されたという。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロバート・キャパ
と、言うわけで、泣く泣く現像したものをそれらしく(供養のために)アップしてみる。これをネタにしないでどうする!
被害のでかい1本目から。これは上陸を阻止するためのドイツ軍が設置した障害物(流木)
これも1本目から。ノルマンディーに上陸した兵士(防湿庫査察官)
こちらは2本目から。タンク内でも下にあったので1本目よりマシだけれど・・・ああ。この失敗写真をアップする作業はまさに撤退戦。
この小さな防波堤が映画"ダンケルク"を思い出させる。(新舞子海水浴場)
プリントで救うようにトーンカーブなどでいじり倒した。
ああ、木村伊兵衛賞が・・・ピューリッツァ賞が・・・。
上陸して来る連合軍を見張る台なので、ここにMG42マシンガンがあったはず。(夏の監視台)
上陸を阻止するための障害物を撮った(流木)
見えない敵。(すすき)
丘を越えて敵がやって来る(ハマヒルガオの保護区)
上陸はさせまいとする障害物。(テトラポット)
傷ついた仲間を助けているところ(流木拾い)
ここはダンケルク(上総湊港)
海に沈んだ戦友を想う(インスタ映え狙い中)
しかし、こんな凡ミスは何年ぶりだろうか。
一度、現像しようとして蓋をつかんだらパッカーンと蓋が外れてタンクを落としたことがあったがあれば事故だ。
今回はミスだ。ああ。
それでもなぜ自家現像を続けるのか
私はそもそもなぜ自家現像をやっているのかと言えば、"モテるため"にやっているのだ。
「俺ねー、フィルムはモノクロがメインでいつも自家現像、自家プリントなのよ」と言うと、おじさんたちからは「えらい」と言われ、女子たちからは「すごーい」と言われる。
男は女性から「すごい」って言われるだけで生きていけるのだ。
逆に「下手ね」とか「早いのね」とか「まだ?」とか「小さいのね」とか言われるとそれだけで生きていけないほどのダメージを受けるのだ。
男なんて"単細胞生物"なので女性は安心して手なずけて欲しい。
誉めりゃあいいんですよ。やだ、かっこいいって。
それだけで男は落ちる。男からカメラを買ってもらえる。
間違いなく私は落ちる。「やだ、大きい・・・」なんて言われたら、すぐに今欲しいM42レンズを買ってあげる。
私は下心だけで生きているんだ。下心のない男なんて信用しないほうがいい。そんな下心のない男なんてつまらんと思わないか?
ちくしょー!
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