ついにやってきた。
固定鏡胴Summar 5cm f2、通称「ひょっとこズマール」。
長かった、この道のり。
あっち行ったりこっち行ったり。
目次
- ひょっとこズマールとの出会い
- スペック
- ライバルのSonnar 5cm f2とf1,5の存在
- レンズ発売時の歴史
- Summarのバリエーション
- フード問題
- 満足度は高い
- 1935年発売のフィルター
- 純正キャップ
- M-Lリング
- 沈胴Summarを手放すかどうか?
- ML各種ボディとの相性
ひょっとこズマールとの出会い
10年ぐらい前に、この固定鏡胴SummarとElmarit 28mm f2.8 1stがお店にあって、死ぬほど悩んだ。
当時はデジタルMもフルサイズが出てきたけれど、後ろ玉が飛び出しているレンズは色転びのため安めの相場になっていた。
Elmarit 28mm 1stはそれまで35万とかしていたんだよ、そうデジタルが出る前は。
それが10万以上下がった。
それでElmarit 28mm 1stを選んだ。
で、今また高騰しているね。
あと当時は沈胴のニッケルSummarも持っていたし。
ずっとそれを言い訳にして目を逸らしていたのかもしれない。
それ以来、出会いがなかった。
しかし、今回やっと手にすることができた。
というか、潮時だなと半ば「諦めという必要性」があった。
ちょっと自分で書いていてもおかしな日本語だなと思うが、買う必要があるんだなって思っている。
さらに5%還元。
5%はでかいぞと思ったら、5%還元って最大1.5万円なのな!びっくりしちゃったよ。
6月までだ!急げ!
このひょっとこズマールはヘクトール 5cm f2.5と同様でピントが後から調整できないようで、すごく慎重になっていた。
(ちなみに私のHektor 5cm f2.5は2~3mあたりでピントが少し外れているらしい。OHするまで気づかなかった。)
OHし、チェックしてもらったが問題ないとのことで即決・・・したかったが、30分ほど悩んだ。
だって、高いもん!ほんと。
スペック
重さ |
166g(実測) |
絞り |
f2~12.5 円形12枚絞り |
マウント |
Lマウント(LTM) |
フィルター径 |
34mm |
レンズ構成 |
ガウス型 4群6枚 |
撮影距離 |
1m~無限 |
発売年 |
1933年〜 |
なんと166gだ。
すごい軽く思えるが、手に持つとコロン?と重い。
ガラスが重いんだなと思う。
よくなんとかガラスとか言うけれど、ライカのレンズは真鍮を使い、ガラスが高価で重いとは安田さんのHPで見た。
ここには絞りが10枚って書いてあるけれど、今自分で数えたら12枚だった。
他にひょっとこズマールを持っている人、どう?10枚?12枚?
固定鏡胴は2000本らしい。
Summarは沈胴レンズと合わせて合計127,950本のベストセラーレンズか。
私の個体は1933年の固定鏡胴タイプの1stロットの1000本のうちの1本のようだ。
16万台に1000本、18万台に1000本あるようだが定かではない。
なんか先黒の固定鏡胴もあるな。18万台に。
またニッケル以外にクローム=白もある。
絞りも初期はf16まであるものもあるらしいが、私のはf12.5。
そもそも大陸絞りなので、f16というのも?f18では?とか。
f12.5、これがド・ピーカンだと、ISO400が常用の私には絞りきれない時があった。
晴天の海ほたるでISO400でバルナックDIIIの最高速は1/500、最小絞りはf12.5。
露出計はf16の1/1000だった・・・。
ネガはオーバーに強いなんて言って撮ったけれど、ダメだった・・・。
ライバルのSonnar 5cm f2とf1,5の存在
Carl ZeissはSummarより1年先に1932年にContax用レンズとして、天才ベルテレがSonnar 5cm f2とf1,5を設計し、発表発売。
これに焦ったLeicaは何とかならんのか!とガウス型のSummar 5cm f2をマックス・ベレークが設計、発売したのが1933年。
それまではElmarのf3.5より明るいレンズは変形トリプレットのHektor 5cm f2.5だった。
1936年にやっとこれまた当時Schneiderに在籍していた、天才トロニエ博士が同じくガウス型でXenon 5cm f1.5をライツに供給し、やっと5cm f2と5cm f1.5の対抗ができた。
ちなみにライツが同じ5cm f1.5である、Summarit 5cm f1.5を出すのは1949年だ。実にSonnar発売の17年後。
レンズ発売時の歴史
Sonnarが出た、1932年は昭和7年、満洲国が建国宣言、五・一五事件で犬飼首相が殺害、8月にはドイツでナチス党が圧勝している。
1933年は昭和8年でドイツはヒトラーが首相になり、ナチスが政権獲得の後、独裁へ。
小林多喜二が特高に捕まり拷問死する。蟹工船だな。
アメリカはニューディール政策。
世界は不況真っ只中。
なんともまぁ、激動の時代だな。それと共に1929年からの大不況と、ドイツはWWIの負債を抱えて不満爆発。
武器も作れ、それに伴って光学製品もって。
富国強兵ってやつ?
Summarのバリエーション
そんな中生まれたSummar 5cm f2はニッケル、シルバー、沈胴、固定鏡胴、カラーフィルム対応などなど、様々なバージョンがある。
絞りの形状も丸から角絞りへ。
フード問題
SOOMPがSummar専用のフードなんだけれど、気持ち的にはカッコ悪い・・・かな・・・。
これもネジが真鍮かどうかで1万以上変わってくると言う、ひどい話。
上のようなFIKUSのニッケルも持っているんだが、うーむ、なんかシュッとしたひょっとこのカッコ良さがネジで損なうような。
どうするか?フードなし?
実際問題としてフードなしで撮影は厳しいよなー。
満足度は高い
やっぱりかっこいいね。高かったし。古いし。絞りも丸いし。
レンズの状態は若干の傷はあるが、抜けているという感じ。
ビカビカの傷なしではない。傷なしになると再研磨?と疑ってしまう悲しい自分がいる。
ああ、レンズ焼けしているから大丈夫とか。
OH済み品なので絞りも綺麗だしヘリコイドもヌルヌルでしっとり。
1935年発売のフィルター
Y0フィルターのFIMOOを見つけた。Y0は薄ーい黄色。
あのトリウムズミクロンぐらいの色。
露出補正はどうなんだろ。半段ぐらい?それとも必要ない?
FBOOKというUVもあるんだけれど、これが検索してもほとんどない。
のんびり探すかと。
純正キャップ
これも買おうとするとなかなか高くて躊躇するんだけれど、セットで売ってくれたので助かった。
M-Lリング
M-Lリングも現行型の生産が終わったようで、この際ということで5cm表記のものを買った。
なぜか、裏側に4桁の番号が。
おそらくの番号はレンズと一緒に売られた時の下4桁?とか妄想している。
これが全てのシリアルが出ているElmar 9cm、636353用のM-Lリング。
このシリアルのレンズはどこへ。
これで全て揃った。3.5cm表記とかってあるんだろうか。
沈胴Summarを手放すかどうか?
ここに来て悩んでいる。
おんなじレンズで鏡胴の違いと絞りの違いだけ。この違いでこの値段の違いはひどいが。
しかし、手放すとNooky Hesumが使えなくなる。Summarで最短45cm撮影ができなくなる。
あと、時々ファッションで沈胴レンズもつけたい。ニッケルの。
DIIIにニッケル沈胴レンズかっこいいでしょ?
カメラはファッションの一部です?ね?
あ、このCanon IVsbも修理終わったよ。ビットもバッチリになった。いえい。
ML各種ボディとの相性
M4BPに付けてみると、少しレンズが小さいかなと思うが、かっこ良すぎて濡れる。何かが滲み出る。
DIIIにつけると、これでコーラ一本、1.5Lいける。痺れる。
やっぱり人工甘味料のほうが体に悪いよ、な?純粋な砂糖の方がいいって。
最近は普通のコーラしか飲まない。
ああ、このDIIIも手元にきて13年か。がんばれ。
DIIIに付けた方がそれなりにハマる感じよね。やっぱり。
DIIIが1934年製だからSummarが1933年製で合う。
他の手持ちのLマウントレンズで古いのはElmar 5cmは1933年、3.5cmも33年、9cmは39年、13.5cmは32年、Hektor 5cm f2.5も33年、Xenon 5cm f1.5は37年と30年代で固めている。
あとはSummicron 5cm f2とSummitar 5cm f2か。あ、Summaron 3.5cm f3.5も追加で。
最近、Lマウントばかりになってきた。
なんかMマウントレンズはかっちりよく写るので安心感があるんだけれど、趣味でフワフワとか、すげーきたねーボケ!とか楽しむなら、Lマウントのノンコートの時代の方が使い甲斐?がある感じ。
Summicromは誰が撮っても綺麗に撮れるし、Summitarはその中間でいい塩梅だと思う。ちょっとクセが欲しいなら、1本目のライカレンズにSummitarってアリよね。
さて、ひょっとこズマールの写りは?
撮ってきたぜー。江頭っぽいな。
次回を待て。
撮ってきた