実はこの前、初めてM3にSummicron 35mm f2で最短70cmにして撮影したところ、ピンボケになった。
前ピン。
以前からM3に35mmレンズを装着して"ワイワイ"していたが、実際撮りに行ったことはなかった。
今回はMの35mmレンズを使うに当たってM3しかなかったため、このセットで撮影になった。(M2欲しい)
今回はM型ライカの最短距離撮影について検証したい。
目次
- 各M型ライカの最短撮影可能距離
- M3の最短撮影はいくつ?
- レンズはどこまで回る?
- 最短撮影のこと
- レンズの最短とボディの最短
- 撮影者の技術の問題
- M3以外のボディ
- レンズに合わせてボディを調整するしかない
- 少しはカメラ・レンズの構造の勉強もしたい
各M型ライカの最短撮影可能距離
巷で言われている、最短撮影距離は、
M3は1m。
M2、M4、M5、M6、M7〜Mデジタル各種は70cm。
これがよくに知られている、各M型ライカの最短撮影距離。
ちなみにファインダー倍率はM3はファインダー倍率が0.91倍。
M2が0.75倍。
M4〜M7、M-A、MPは0.72倍。
Mデジタルは0.68から0.73倍。
M3の最短撮影はいくつ?
さて、今回、気になったことがあった。
それは"M3の最短撮影距離は幾つか"ということ。
昔、修理の人に聞いたのはM3の最短撮影距離は"1m"ということだった。
Summicron 35mm f2の最短は70cmだ。
ではこの最短70cmにピントは来るのかと。
M3ボディの最短は70cmなのか1mなのか。
試しにSummicronの最短70cmで撮ってみたのが先ほどのこれ。
どう?滲んでる?やっぱり8枚玉、開放は柔らかい?
いいや、これはピント外れてる。
前ピンかと。さりげなく写り込んでいる、上の手前の葉っぱに来ていると思う。
レンズは70cmまで回っているので二重像は70cmの像が見えているが、M3のボディは1mまでしか測距できない。
レンズは70cmでもボディは1m。
つまりピントはレンズが回っているので70cmあたり?
やはりM3は(私の個体では)1mが最短のようだと、このフィルムを見て確信した。
しかし、調べてみると、どうやらM3でも最短70cmに対応している個体もあるようだ。
これが改造なのか、元々のものなのはか不明。
ファインダーの中の二重像は動いていて合致した。
しかし、ピントは外れた。
決定的なのは今回も修理の方に聞くとM3は1mとのことだった。
レンズはどこまで回る?
そもそもレンズはどこまで回るのか。物理的に。
手持ちのレンズで見てみた。
Xenon 5cm f1.5はほぼ1m。
沈胴Summar 5cm f2はほぼ1m。
固定鏡胴Summar 5cm f2はほんのすこーし1m超えてるがほぼ1m。
Elmar 5cm f3.5(旧Elmar)はほぼ1m。
Summilux 50mm f1.4 1stは1mを超えて90cmぐらい?
Summicron 50mm f2 固定鏡胴後期も同じぐらい1mを超えている。(いやこれが1mなのか?)
結果的に(手持ちの)Lマウントレンズはほぼ1m。Mマウントは1m越える感じ。
記憶によると、沈胴Summicron 5cm f2のLマウントは1m(3.5ft)を超えていたと思う。
最短撮影のこと
最短撮影はどうもボディの"コロ"の位置に関係があるのかもしれない。
コロが"奥"にあるのは最短1m、"手前"にあるのは70cmなのかも。
M2とかは手前にあるらしい。
つまり、この手前にあるコロが最短70cmのカムと合うようで、奥にあると最短70cmまでコロとカムが噛み合わないようで、ピントが外れるようだ。
果たして、この予想は合っているのか?
M2買わないとわからないな?よし買おう。
レンズの最短とボディの最短
ちなみに私のXenon 5cm f1.5はおおよそ1mで止まる。(確実に1mとも言い切れない)
そこでピントを合わせると二重像ではピントが来ているのだけれど、2枚とも外した。
2枚とも白い花に合わせたつもり。これは腕が悪かったのかもしれない。
つまり、レンズは"95cm"とかになっていてもボディが1mまでしかピントが合わないのでピンぼけになるということだ。
さらにM-Lリングも噛ましてあるので、フランジバックの関係も出てくるかもしれない。
(厚みが増すということは後ピンか?)
この辺はM-LリングでM3ボディにつけた状態でコリメーター?などで覗いてみるしかないのかもしれない。
ボディは先程の修理職人さんがメンテナンスしたものなので1mだと思う。
ここで試写した限りではピンボケを感じることはなかった。
やはりレンズとボディの相性かもしれない。
M3に関しては1m~全域でピントが来るものだと思うが、最短1mに関しては注意が必要かも。
レンズが1mを超えて95cmなどに回ってしまえば、レンズのピントで写ることになる。
距離計連動の安全マージンを取るなら、ヘリコイドの最短まで"回し切らない"方が安全かもしれない。
特にf1.4などのピントが薄くなるものは注意が必要かと。
やはりレンズの目盛りの1mで止めておいて、そこからピントを合わるのが最終的な手段になろうかと。
撮影者の技術の問題
撮影者の技術。これも避けて通れないと思う。
私は大雑把な性格ゆえ、レンジファインダーが好みだ。
一眼レフのようにじっくりと言う感じも悪くはないが、レンジファインダーに慣れるとこちらの方が好みかなと思う。
ピントもアバウトになりやすい傾向はある。
開放も好き、ボケボケも好き。すると寄っていってしまう。
例えばブレッソンなどは寄った写真が少ないように思う。
"逃げ去るイメージ"
常にf5.6~8に絞り、SSは1/125。
3mあたりにピントレバーを置いてあったというのがそれを物語っていると思う。
最短にピントリングを回して、体を揺らしてピントを合わせる時もあるが、カルシウムが足りないのか、ええい、もういいわとシャッターを切る時もある。
短気は損ね。
というか、最短距離撮影は被写界深度も浅くなるため、誰にでも言えると思う。
三脚固定が一番。ファイナルアンサー。
M3以外のボディ
1m以下でもピントが合うのはM3以外のボディ。
以前、M4でSummilux 50mm f1.4の最短まで回し切ったところで撮ったものはピントが来ていたと思う。
M4は最短70cmなので1m超えてしまってもピントは来たのでは?
これはデジタルMでも同じということになる。最短70cmまで対応しているので、例え1m超えて90cmになってもピントは来る事になる。
するとM3での最短撮影は少しばかり気を使うのかもしれない。
M3で撮影するときに、手持ちのレンズで構造上1mを超えて回ってしまうのなら1mで止めておいた方がいいのかもしれない。
合うレンズもあるかもしれないが、合わないレンズもあると思う。
安全マージンを取るのなら、1mよりもすこーし遠く?1.05mとか?
じゃあ、M3じゃなくてM2、M4などがいいじゃんとなるかというとそういうわけでもない。
ファインダー倍率も違うし、基線長も違う。
悩ましいねぇ。
レンズに合わせてボディを調整するしかない
レンジファインダーカメラの構造上、最短で手持ちの全てのレンズが一つの同じボディでピントが来るかと言うと難しいのではないだろうか。
例えば手持ちのM3で最短ピントから無限まで、100本のレンズの全てがピントが来るかというとこないと思う。
レンズをOHしました。じゃあ、つけて撮ってみました、あれ?ピントが外れた?ということもあると思う。レンズがおかしいの?いや、ボディ?
果たして!というね。
ボディごとの調整もあると思う。正しい調整がされていれば、大きく外すこともないはずだ。
レンズ側のカムの状態、受けるカメラ側の距離計の調整といった要素。
するとボディと合わせたいレンズを持ち込んで、ボディを合わせるということが必要かと。
昔、ボディの無限調整に持ち込むと、レンズも渡してこれで(ボディと)合わせてもいいの?と聞かれたのを思いだした。
他のレンズでは合わない可能性もあると。これもよく言われた。わかりませんと。
ただし、被写界深度があるので最短より無限寄りになればなるほど、開放でもピントがあってくるので近づかないことがRFカメラでピンボケを出さないコツかもしれない。
OHなどでボディだけ預かったらM3なら1mで合わせて調整するし、M2、M4などは70cmで調整するのかなと。
ただし、レンズによっては1mを超えてしまうものもあると、M3の最短1mが合わなくなると。
これが私の今の結論。
最短70cmでも合うというM3はどうして合うのか逆に知りたい。最短70cmに合わせたら、それ以降の無限より2m、3m、5mなどのピントはどうなるのか。
無論、レンズ1本しか使わねーというのなら、それを持ち込んで合わせてもらうのが良いだろう。
少しはカメラ・レンズの構造の勉強もしたい
やはり寄るなら一眼レフといったところかなと思った次第だ。
RFカメラの良さは機動性などで一眼レフとは違う部分が多くある。
私もライカ神話に踊らされて、技術的な構造上の部分の知識を疎かにしてしまって、泥沼にハマるのは避けたいところだ。
一長一短というものや、適材適所というのがある。
と、いうわけで、うちのR型ライカは生き延びることとなったとさ〜。
R-Summicron50mmもSummilux50mmも約50cmまでピント合うしね〜。
今回を機に自分の機材のことぐらい少し勉強しようと思った。
注意:ここまでの記述はあくまでも素人が自分なりに調べて検証した結果なので、他の方のご意見とは違うかもしれません。
もっと知りたいという方は専門の修理屋さんに尋ねてみてください。
きちんとした点検機材で調べてもらうのが一番の近道だと思います。
参考図書として
大変興味深いことが書いてあるのでおすすめ。
あー、あー、あー。