沈胴NIKKOR-H.C 5cm f2 Lマウントを手に入れた。どこか気になっていたレンズ。50mm f2にハマっている今、欲しかった。ある日、ぽっと見つけて少し悩んで買った。
たまたま、在庫は数本あったが、どれもある程度の傷は致し方ないと言う感じだった。試写して一番写りが好みだったものを選んだ。(TYP246の、あの小さい液晶で決めることの勇気と言ったら!)
下記の記事の中でも傷があるなどと書いてある。
いつもお世話になっています。
こちらも、いつもお世話になっています。
シリアル:8112219
目次
スペック
重さ |
199g(実測) |
フィルター径 |
40.5mm |
焦点距離 |
50mm |
開放値 |
f2~f16 |
最短撮影距離 |
3.5ft |
マウント |
Lマウント |
フード |
被せフード、分割フード |
レンズ構成 |
3群6枚 ゾナー型 |
絞り羽根 |
10枚 |
発売 |
(※1939年?)1946年〜1948年 |
私のはシリアル、"8"112219なので194"8"年と言うことらしい。
8112219は8が1948年。11が11月。残りが2219本目かな?
1948年11月の2219本目であっているのかな?(Sマウントも含む)
※1939年はハンザキヤノンに50mm f2が装着されていたことから。
歴史
設計は戦前から村上三郎氏がしていたと言う。戦後、商品化が決まり作ることができた。
1937年8月には設計図ができており、試作品もあり、大変よく写ったので「中身はゾナー」という、あの有名なフレーズがここで生まれたと。
参照:P92,レンジファインダーニコンの全て
1939年4月にハンザキヤノン最新型=「S型」を発売した時に同スペックのニッコール 5cm f2がついていた。
これが元になったのか?
1946年、戦後すぐに生産が始まったが物資不足でガラスが不足し、生産が厳しくなった。
再設計し、それが収束したのは1948年であるとされている。これがのちの固定鏡胴か?
ニッコール千夜一夜物語 - 第三十四夜 | Enjoyニコン | ニコンイメージング
その3年間で作られたのが沈胴式NIKKOR-H.C 5cm f2のSとLマウントと言うことになる。
製造本数について
製造本数については定かではないとされている。
"捨て番"と言われる、"609"、"708"、"806"、"811"があった。
こちらを参照すると・・・・
http://www.photosynthesis.co.nz/nikon/serialno.html#RF_5cm
始まりは609"1"から60919までの19本。1946年
次に708"1"から708723の723本。1947年
806"1"から806001の600本。1948年
811"1"から8112976の2976本。1948年
S、Lマウント合わせて、トータル、4316本。
さらに調べると、やはり"欠番"があるらしい。そしてこのレンズはNIKON IとMにつけられたのでボディと合わせて考えると、2400台なので2400本あたりではないかと。
http://nikonfan.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/5cmf2_5f7a.html
また、811番台にSマウントの固定鏡胴と沈胴鏡胴の"ハイブリット"も存在している。
2400本から4317本の間ぐらいか。多くても4000本、少なくて2400本?
そのうち、SマウントとLマウントの比率がどれぐらいなのかは私が調べたところではわからなかった。
2400本ほどはSマウントだとして、もし4316本あるのなら、1900本ほどはLマウントか?それほどあるかどうか?
Lマウントは708番代から出ているようだ。Nicca用に製造された。すると、Lマウントは1947年ごろから。609番代はSマウントのみの19本。残り約4000本。
Rotloni氏はトータルで3000本程度としている。
レア?
マウント面の番号について
どの個体にも刻印されている。この数字は一体なんだろうか。
私のは"9061232"という番号。
先ほどのRotoloni氏の本にもここに数字があるということは書かれていたが、理由までは書かれていなかった。製品管理番号なのか?部品の番号なのか?なんだろう?
絞り枚数
絞り枚数は10枚。ちなみにレンジファインダーの時代のレンズで12枚とかあるのは、絞りオート機構がないからとか。
一眼レフになると例えば、Nikkor-S Auto 5cm f2の前期は9枚絞りであったが、後に6枚絞りになる。これは絞りを跳ね上げる機構があるので(絞りオート)その時の負担軽減のために枚数を減らしていると読んでなるほどと思った。
コーティングは青
前玉も痛み気味。コーティングは青っぽい。
後ろ玉も薄い青のコーティング。焼けが見られるな。
銘板表記
当然?Nippon Kogaku Tokyoである。
Nikkor-H.C 5cm f2のHはヘキサの6枚玉。3群6枚のゾナー構成。Cはコーティング。
アクセサリー
どうやら、シルバーのアルミ缶?のようなケースに入っていたようだ。これは5cm f1.5なども同じか。
そして、キャップもこれは販売時につけてモラっったもので、正式にはこれではなく、シルバーか黒の被せ。Nippon Kogaku Tokyo銘。
フィルターも被せシリーズのもの。MADE IN OCCUPIEDのもの。当然だな。このレンズはサンフランシスコ条約よりも前のものが1951年だから。
フードも被せでシルバー。どちらも売っているのは一度も見たことない。
ここと、
https://redbook-jp.com/kenkyukai/2004/200411.html
ここを参照した。
間に合わせで、NIPPON KOGAKU JAPANの40.5mmフィルターをつけた。これでいいかなと。
フードはどうしようかなと。
鏡胴などの作り
これらはとても素晴らしい。絞りリングはクリック感なし。
絞り環の全周にキザキザがあるものと、切り取られたようなものがある。811番台でもこの2種類を見たのでシリアルでは区切れないのかもしれない。
ストッパーも作りが良い。
連合国軍の占領下なので当然、feet表記。
無限マークじゃなくて、INF.の刻印。
装着例
TYP246と。大柄なボディに比べるとコロンと可愛らしい。
M3BPと。結構似合ってる。沈胴Summicronと似ているから?
かっこいいだろ?
M2、ビットと。これが一番かっこいい!?
一体感が良いね。
意外だったのが、これ、バルナックIIIa。少し大きく感じた。しかし、ニッカにつけるためのLマウントなのでIIIfとかなら似合うのかもしれないな。
ちょっと重いのかも?
バルナックでも似合うね。
今後、フィルムよりこっちがメインになるのかなとか。
室内で試写。いつもの場所。f2と1/60、ISO400。これ・・・いいんじゃないの?ボケも綺麗だし。
50mm f2の比較対象として。
SUPER ROKKOR 5cm f2C、ガウス型、ズミクロンコピー。
Topcor 5cm f2、極初期モデル。後ろ玉に空気レンズを使用。
Topcorの優秀さが目立つ?NIKKORもいい。ROKKORは個性派。50mm f2でも違うもんだなーと。50mm f3.5なんて怖いわ〜。
では試写してきたので続きは写真を。