NIKON F 前期ブラック、光学マーク付き、富士山マーク付きをついに買った。
NIKON F黒。かっこいいよね。夏になると黒は熱くなるので夏用にシルバーも欲しいね。
2013年11月にNIKON F 黒 中期 No.692...を何もわからずにお店の人と相談しながら買った。
OH済み品で購入したが、なんかライカに比べるとガリガリしているなぁという印象だった。
しかし、今まで結構使ってきたが全く壊れる気配がない。とにかく頑丈。これはすごいかもと思った。2013年のOHから2022年6月まで都合9年ほど経つが不具合らしきものはない。
そして使っていくうちにハマって、なんでも"前期"、"後期"とあるらしいということがわかった。さらに"初期"、"中期"とかも・・・。
と、調べて行ったら、やっぱり欲しくなった。前期の"光学マーク"付き。"富士山"、"おにぎり"。
結構あーでもないこーでもないと探し続けてた。おそらく、ここ4~5年は探していたかも。
一度手に入れたけれど、初期不良で返品になったこともある。
そして、ついにこれは!というものを見つけた。
やっと手に入った。しかも結構綺麗だ!
目次
- 前期・中期・後期
- スペック
- 発売当時の値段について
- 光学マーク
- シリアルナンバー
- 視度補正
- EYE CUP ADAPTER for Nikon F
- セルフタイマーレバー
- リワインドノブ
- シャッタースピードダイヤルのネジ
- 巻き取りスプールの溝
- フォトミックファインダー対応の切り欠きの有無
- ネームプレート
- 裏蓋パテント刻印の有無
- 底蓋の刻印
- ASAインジケーター刻印
- ファインダーの白い点
- プリズムファインダーの刻印
- ミラー機構のバネの本数
- クイックリターンミラー(インスタントミラー)
- フィルムカウンターの数字が刻印
- 巻き上げレバーは肉抜き
- NIKON Fの詳細について
- 購入の決め手
前期・中期・後期
おおよそだが分類してみる。
前期はファインダーが四角で軍幹部に「光学マーク」が入っているもの。シリアルナンバーはNo.64~675後半あたり。(676以降にも数少ないがあるらしい)
ファインダーが四角で巻き上げレバーが金属で軍幹部は"Nikon刻印"のが中期型。シリアルNo.68~69。(フォトミックFTnが載せられるようになったものからが後期というのもある。)
後期はいわゆる「NEW F」という巻き上げレバーに黒い"指当て"がついたもの。ファインダーが丸型。シリアルNo.69~745
スペック
重さ |
688g(実測) |
フォーマット |
24x36mm |
マウント |
Fマウント |
シャッター |
チタン幕フォーカルプレーン |
シャッター速度 |
T,B,1,1/2~1/1000 |
ファインダー倍率 |
0.7倍(50mmの場合) |
ファインダー視野 |
100% |
発売年 |
1959年 |
NIKON Fは1959年(No.6400000 or 1?)から1974年(No.745...)まで発売された。約83万台。
(ちなみにNIKON刻印の中期〜後期を測ってみたら689gだったので誤差の範囲か?)
発売当時の値段について
1959年(昭和34年)発売当時の値段はNikkor-S Auto 5cm f2がついて6万7千円。大学初任給が1万2千円程度。約5.5ヶ月分。
下記を参照して物価で計算すると今では4.2倍で28万円ちょっと?約30万円?
昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか? : 日本銀行 Bank of Japan
今のニコンのフラグシップ、Z 9がレンズなしで約69万円。あれ?初任給を20万だとして、約3.5ヶ月分。
あれ?物価の上がり方悪い?
今のお給料20万として5.5ヶ月分なら110万円ぐらいの感覚?
ちなみに1954年(昭和29年)発売のLeica M3とSummicron 50mm f2のセットで当時は約23万円。上記同様に計算すると約137万円。国家公務員の大学初任給が1万200円。
約134ヶ月分。20万円の134ヶ月分なら・・・2686万円!?えぇ・・・。
今のライカがレンズ込みで160万円ぐらいとして20万円の8ヶ月分。安いな!
しかしなぁ・・・手取りがなぁ・・・。今は社会保険料がありえないぐらい取られるからなぁ・・・。消費税もなかったしな。
光学マーク
"NIPPON KOUGAKU TOKYO"
このマークのために買った。写るものは変わらないのにね。楽しいね。
綺麗に刻印が残ってる。黄ばんでいるものが多いが白さが残っている。
シリアルナンバー
シリアルはNo.6438286なので1960年11月から1961年4月の生産。つまり1960~61年製。
NIKON Fの最初期は"640F"(他に64000F、6400Fもある)と言われてコレクターズアイテム。特に黒の布幕シャッターは希少。見たことないかも。
640F黒もあるね・・・。
すごいわ・・・メートル原器みたいな話してる。
640は1959年4月〜1960年1月生産。その中でも6408000番ぐらいまでか。さらにその前が布幕か。何台あるんだろうか。
視度補正
視度補正はアイレベルファインダーが最初から-1かかっている。
当時の視度補正レンズを使うときは-2と出ているものは合計で-2ということ。つまり補正レンズ自体は-1ということ。
ちなみに四角型の視度補正レンズは一度も見たことない。
ニコンF角型接眼部 視度補正レンズ: ニコンカメラの小(古)ネタ
EYE CUP ADAPTER for Nikon F
代わりにこれを使っているが、これも純正でかなり高価で怖い。しかも無くしやすい。
セルフタイマーレバー
斜めのギザギザが640F。
これはその後なので縦ギザと横の溝。
最後に縦ギザのみ+プラ指当て付きへと変化。
リワインドノブ
640Fと同様に固定だった。ある程度シリアルが進むと、回転式になりより巻き戻しがしやすくなる。
シャッタースピードダイヤルのネジ
ネジ1本が640F。これは2本。
巻き取りスプールの溝
最初は1つしかない。その後4つへと変化する。
フォトミックファインダー対応の切り欠きの有無
切り欠きありとなし。これはなし。
No.6602847以降は切り欠き加工がされている。
No.658〜660の製造番号の前に赤点があるのはフォトミックファインダーTに対応したという印。
また、当時ニコン純正で切り欠き加工をしてくれた。
ネームプレート
丸みがあるというか。
前期型の特徴の一つとして、ネームプレートの形がある。
No.6900001以降はフォトミックファインダーFTnを取り付けるためにNIKONの銘板が加工されてある。
真っ直ぐになっているのが前期。1968年にフォトミックFTnが出て、FTnのファインダーをきちんと乗せるために少し斜めにカットされた。
フォトミックは1968年9月発売だったがネームプレート自体は5月からとのこと。
私が元々持っていたのがこれ。No.692なので1968年6月から10月のもの。
このネームプレート交換もサービスでやっていたようだ。
裏蓋パテント刻印の有無
パテント刻印があるのが640Fや前期の最初の方。650台に入っているかどうか。
シリアルいくつまで入っているのかわからないので知っている方いたら教えてほしい。
底蓋の刻印
made in japanがある。
640Fはノブに"japan"の刻印あり。
ASAインジケーター刻印
当初はASA文字周りに丸とカラーが赤文字で白文字はASA400まで。矢印も一つ。
次はASA文字周りの丸がなくなる。
次に文字が白のみになりASA400と赤と白の矢印二つ。
最後に1600までとなる。
EはEmpty、フィルム未装填の意味。
ファインダーの白い点
プリズムファインダーが乗っかる、四角い土台の左側に白い点が付けられている物が6409000番台~649万ぐらいに存在する。
今回の個体にはなかったが、この前に一度購入(初期不良で返品)した、同じNo.643台のものにはあった。(ちなみに600番ぐらいしか違わない)
塗られてしまったかもしれないし、剥がれてしまったかもしれない。(交換されたかも?)
これは初期の6408000番台までにある、クイックリターンミラー機構のバネが2本であったものが(これが"640F"の見分け型の一つ)1本になったことの証とも言えるらしい。
プリズムファインダーの刻印
これはNikon F JAPAN。
他にはNIKON made in japan。
プリズムファインダーを外したここの部分の刻印が、NIPPON KOUGAKU JAPANが640F。
ミラー機構のバネの本数
最初期648000番台までのミラー機構のバネは2本。これにPENTAXよりクレームがついて、この後、1本になる。
ミラーの上部押さえの爪が2本がその特徴。
クイックリターンミラー(インスタントミラー)
NIKON Fのクイックリターンミラーは特許が云々というのは避けて通れない話題か。
クイックリターンミラーを最初に作ったのはPENTAX。
「明るい暗箱」参照。
フィルムカウンターの数字が刻印
0と縦線も刻印。
36枚撮りを示す、36も刻印。
これは知らなかった。シリアルいくつまでなんだろうか。
巻き上げレバーは肉抜き
今回の巻き上げレバーは肉抜きのものであった。
以前から持っていたもの(No.69....)は肉抜きされていないものだった。
巻き上げレバーの種類は6種類ほどあるらしい。
最初期の機械加工物、肉抜きのもの、SPと同様の肉抜きもの、金属プレス、金属プレスにプラスチックの指当てがついたもの、ニューFとF2の指当てのついたもの。
珍しいものではUPIモデルもある。
ニコンF プラスチックの指あて: ニコンカメラの小(古)ネタ
もうこうなると部品交換とかされているとわからないな・・・。
NIKON Fの詳細について
ここまで色々と調べてみたが、決定打になるような本やHPなどはあまりない感じ。見たことがあるとか、実際に開けてみたのでわかったとか。
あとは補修部品。これがとても分かりづらく、どうしてもその拡張性さからニコイチにもなるし、補修部品を使っていたりとか、M3の初期みたいな"ブレ"のようなものが結構みられる。
ニコン研究会のようなものがあるの納得できると思った。
購入の決め手
今回の購入の決め手は光学マーク付きで綺麗。機能的に問題なさそう。
そして何よりもプリズムの剥離もなく、"縦スジ"などと言われる"銀浮き"も全くないという素晴らしいファインダーであったことだ。
No.643と若くて、これぐらい綺麗できちんと機能していて、この値段ならばよしと思えた。
さて、これで撮ってこよう〜。
ブラックペイントに弱い。