東京オリンピックを来年2020年に控え、私は焦っていた。チケットが当たらないということではない。
まだ、S3ブラックのオリンピックを手に入れていないということだ。これ以外何があろうか。
昭和と令和、時代は違えど同じオリンピック。
オリンピック記念。語呂も良い。買う理由にはちょうどいい。誰も文句を言うまい。
S3の追加生産型、再生産、オリンピックモデルなどなど言われているが、平たくいえばNIKON S3ブラック。
Rolling Stonesに"Paint it Black"と言う曲がある。よくブラックペイントのカメラのブログとかで使われるタイトルだ。
でも今更「黒く塗れ!」なんてオーダーは出せないので、サブタイトルは"Painted Black"にした。黒く塗られ(ている)たカメラ。
The camera is painted black.
これは現在形?
どっちも好きよ。
目次
- NIKON S3 ブラック・オリンピック
- お値段が安かった理由
- S3オリンピックのスペック
- Nikkor S 50mm f1.4のスペック
- 内爪レンズのピント合わせについて
- シリアル番号は632...
- 販売台数2000台
- S3オリジナルブラックは250台らしい
- 参考図書
NIKON S3 ブラック・オリンピック
今回の個体はもちろんS3"オリジナルブラック"(=生産数250台)ではない。
これの購入前にオリジナルブラックを破格の値段で手に入れるチャンスがあったが、飛行機を乗らないと行けない距離ということもあって、躊躇していたら売れてしまった。
で、今年のオークション見て驚愕した。90万だった。ううっ、この1/3以下だった・・・。
オークションを見て、なよなよしていると今度はS3ブラック、通称"S3 オリンピック"(再生産、追加生産型)がいつもお世話になっているお店にあった。
S3オリンピックモデル、オリンピックニッコールと呼ばれるNikko S 50mm f1.4付き。純正キャップ、フィルター付き。
フィルターはありがたい。これだけでも5000円とかするから・・・。お前はライカかって。
ちなみにL39とその前にL37、38があって、L39の方が少しコントラストがつくらしくカラーフィルムだと写りに若干黄色味が出てくる。
あんまり見かけないけれど、L37と38がほぼ無色の普通のUVカットフィルター。
あと、黒枠43mmも全然見かけない。
シャッター幕はチタン幕。
ファインダーはまぁまぁ綺麗。少しスレてる。つぶつぶみたいなカビ跡はない。あっても買ってたけれど。
お値段も即決の値段で。相場より10万は安かった。
お店ではいつもお値引きをしてもらうが、こればかりはお値引きでないとのことで下取り品で少しだけ色をつけてもらった。
この値段を知られてからは同業者さんから苦情の電話をもらったとか。安すぎると。
そりゃそうでしょうねと・・・。それぐらい安かった。
お値段が安かった理由
お店の方と話していて、なぜこのお値段でと問うと、外観がボロボロで、ベコベコだから、うちのお店ではこの値付けになるとのこと。
完全にコレクションレベルでは無く、使うためのカメラで、ということらしい。
シャッターダイヤルはスレて見えにくくなっていたから、OH時に復刻版(2002年のS3)のダイヤルに変えてもらってるが、オリジナルのものはカメラの中に入ってると。
確かに少し見にくいかな。ここまでスレてしまうなんて、どんな方が使っていたんだろうか。
報道?こう言うロマンに弱い。
まぁ、気分が向いたら古いダイヤルに変えてもらうか。でもこのダイヤルは決して捨ててはいけない。
では、具体的にどのあたりがベコベコなんですか?と尋ねる。
即、カメラを持って、ここが凹んでいるでしょ?あと、ここが歪んでる。あとここも。あとは角の色が落ちてるでしょ、ここもスレてるでしょ、と光にかざしながらサラサラと話す。
私も一緒に見る。わからない・・・。どこですか・・・。
え?ここ。
え?どこ?
え?ここ。
え?
うーん、車の査定と同じですよ。よく車の横にしゃがんでじーっと眺めるでしょう?あれと同じです。こういう査定するお店も減りましたかね。
あと、レンズもLEDライトで覗いて査定はしないです。あれで見ると、全てダメになりますからね。
新品レンズもダメに見えると思いますよ。
同感。私はLEDライトではレンズを照らさない。落ち込むから。本当汚いよね、あれで見ると。
S3オリンピックのスペック
重さ |
589g(実測) |
シャッター |
T、B、1秒〜1/1000秒 |
シャッター幕 |
チタン幕 |
ファインダー |
等倍アルバダ式 35、50、105mm枠 |
パララクス補正 |
なし |
シャッターは一軸不回転式シャッターダイヤルになった。これになると新しいカメラって感じがする。
底蓋のASA感度は400まで。これもいろいろあるみたい。1600までとか。
聞くともうわからないらしい。ここまでの修理などで交換などされてしまうとわからないと。
うーん、そこまでこだわりはないかな。
黒いS3が使えればいい。
Nikkor S 50mm f1.4のスペック
スペック |
50mm f1.4 |
絞り |
f1.4〜f16、9枚絞り |
構成 |
5群7枚内、爪式 |
口径 |
43mm |
重さ |
178g(実測) |
このレンズは"オリンピックニッコール"と言われているが、そもそもは1964年のオリンピックの頃(オリンピック前年とも言われてる)に報道関係からの要請でSPが再生産され、新型50mm f1.4がセットで作られた。
SPの再生産のほとんどがW-Nikkor 35mm f1.8とセットで使われてたらしい。
報道は広くて明るいレンズが好まれているよね。
そのあとの1965年にこの追加生産型のこのS3ブラックが販売されセット販売もされた。
これが後で"オリンピック"と呼ばれるようになったらしい。
らしい、らしいで、ほんとわからない。
レンズ構成もゾナー型からガウス型に変わったと言われている。私が中身を見ているわけではないので、そういう話として。
多分、写りはこれから撮るけれど、Nikkor S.C 5cm f1.4の開放のホワホワはないと思われる。
ホワホワだぞ。
多分、もっとマシになっていると思う。
内爪レンズのピント合わせについて
この50mmのようにニコンS型とContaxには「内爪」というバヨネット方式のマウントがある。
このS3を購入する時にファインダーを確認するためにピント合わせをしたのだけれど、その時にレンズの鏡胴を持ってピントを合わせようとしたら、店員さんに軽く窘められた。
大変申し訳ないのですが、鏡胴を持ってピント合わせをしないようにしていただけますか。
え?
ボディのギアの方でお願いしますと。
あっ、すみません・・・。
いえいえ。すみませんね・・・。
いえいえ、すみませんでした。えっと?なぜでしょうか。これは知りませんでした。
はい、内爪のレンズの場合はボディ側のギアを使った方が、マウント部分のギアの偏摩耗を避けることができます。
外爪のレンズはそういうことはないのですが、内爪のレンズは鏡胴を持ってしまいますと、どうしてもマウント部分のギアに斜めの方向などからの負担がかかってしまいますので、基本的に50mmの内爪はボディ側のギアでピント合わせをした方が良いのです。
うぉぉーーー。それは知りませんでした。目から鱗が落ちました。ほんとすみません。
いえいえ。
お作法ってあるよね・・・。このS型のレンズ交換は無限にしてからとか。
また一つ賢くなった。うれしい。
今度からはContaxの50mm、NikonのS、S2、このS3も50mmを使うときはボディ側でピント合わせをしよう。
特にS2は50mm専用になりそうだから注意したい。
S3は・・・35mm専用にしたいぞ!W-Nikkor (C) 3.5cm f1.8な!
シリアル番号は632...
私のはシリアルは632...0。
もう、このシリアルはメモったからな!
落としても、これが俺の番号だ!って言うからな、お店の購入日入りの保証書もあるからな!
S3オリンピックは"チタン幕"と"632..."と言われているらしい。他にもいろいろとあるらしいが、いっぱい修理されているのでもはや不明とか。
後塗りの恐怖も残る。
中身は変わらないから開けてもわからないよね。(OH済みだから間違いないと思うけれど。)
販売台数2000台
販売台数は2000台。レンズセット、ボディのみもあり、当時は売れ残りが出たらしい。
ライカで2000台というとM2のブラックペイントが約2000台。
それが今は80~90万とかするから、その1/3ぐらいなので安いと思う。いや、高いが。
1965(昭和40)年の販売価格は71,400円(50mmレンズ付き)で、今の価格にすると約4.2倍で299,880円ぐらい。
ボディのみで42,400円。同=170,880円。
ケースが2,600円で10,920円。
どう?今のデジカメがいかに普通の値段かってわかるよね。当時はみんな月賦で買ったのかなぁとか。
参考;昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか? : 日本銀行 Bank of Japan
54年経った2019年の今、中古でほぼ新品当時、もしくはそれ以上の値段がついているだけでもすごい。
そう言えば2000年の復刻版も売れ残ったとか?
2002年の黒も今、結構安く出ているよね。発売価格が税別53万だったので、中古で出てくる値段と比べるとね?
実用で考えると復刻版を買ったほうが安心かも?
フードもこのセット専用のものはほとんどなくて、セットで売られているのはあとで付け足したものが多いとか。
当時のセットのものは一般のものより少し長いという話だ。
それも二つ並べないとわからないレベルということなので、見つかったら買うかぐらいで、今持っているラッパ型を使うことにする。
ま、見つからないでしょ、限定2000台のフード単体なんて。
S3オリジナルブラックは250台らしい
ちなみに"オリジナルブラック"は250台でNo.6307453~6307508の間に50台とNo.6312108~6312278の間に200台で合計250台。
これね。落札価格は90万円。シリアル6312187。630、631のブラックを見つけたら真贋を見極めよう。
どうやって?思い込みと気合いだよ。これは本物だ!買う!これだけ。
だって、同じ時期のNIKON Fのセルフレバーが使われてたとか、いっぱいあるからもうわからないよ。
え?俺のS3?オリンピックだよ?うん。そう。オリンピック。違いない!うるさいなー!偽物じゃないって!本物!
これ以上疑うと毛を剃るぞ!
参考図書
この本がすごく役立っている。
あれ?もしかしてフードの箱のデザインもこの本の装丁デザインをした、亀倉雄策氏かな?
ニコンのボディナンバーの由来が皇紀から来ていたなんて。"6"から始まっているのは皇紀2606年(昭和21年=1946年)9月からなので609から始まっている。
皇紀2600年だから零(0)戦な。
亀倉さん、ちょっと興味が出てきた。 カメクラさん・・・
NIKON Sは現在の上皇が使われていたようだぞ。