2019年 11月22日 追記 アクロスIIの生産国は?
昨日3/29、私のツイッターのTLに激震(?)が走った。
2018年10月頃に富士のモノクロフィルムであるアクロス(Acros)が販売終了というのだ。
また、モノクロ印画紙も段階的に販売終了と。
ISO400のプレストが無くなった時はまさに激震だったが、今回はプレストの件もあったので、うーん、ついにきたかと冷静だった。
しかし、ほんとかな?と、ちょっと懐疑的でもあったので富士フイルムにメールで問い合わせてみた。
目次
- 日本製のモノクロフィルムと印画紙が無くなる
- フィルムブームなの?
- 企業としての判断
- 現在のフィルム
- 二極化が進む
- これからもフィルムを使いたい
- 自家調合?
- 復活するフィルム
- アクロス復活!
- 追記:アクロスIIの生産国は?
日本製のモノクロフィルムと印画紙が無くなる
まぁ、いつかは無くなるだろうと思っていたが、予想よりも早くて(個人的には2020年ぐらいまでは値上げはするものの、販売は継続すると今のフィルム市場を見くびっていた)、びっくりしたので即、富士フイルムにメールで問い合わせた。
内容は2018年10月にアクロス、印画紙が2019年から段階的に販売終了するのは本当ですか?
また、それに伴ってモノクロ写真用の薬品も販売終了ですか?と尋ねたところ、本日(2018年3月30日)の昼に返事が来た。
現在、一般の客向けには公表していないが、販売店にはその予定であることを伝えてあるとのこと。
モノクロ現像薬品終了は現時点での予定はないとのこと。
詳しくは4/6、15:00以降の富士フイルムHPでの公式発表を見て欲しいとのことだった。
HP ; http://fujifilm.jp/index.html
2018年 4月6日、正式発表されました。
黒白フィルムおよび黒白印画紙 販売終了のご案内 : お知らせ | 富士フイルムイメージングシステムズ株式会社
結論としては、富士のアクロスと印画紙の終了は決定しているようだ。あーあ。
ブローニーフィルムはHASSELBLADのSWCで三脚使って長時間露光とかこれでやってみたいと思っていたのになぁ。
あ、いや、まだできるけれど。
最後に一箱買っておこうかな。
いやいや、QW(水洗促進剤)が残っただけでも良しとしたいじゃないか!あの"ブルーハワイ"が無くなったら寂しい。72円だぞ!このご時世!駄菓子か!
と言っても、自社モノクロ製品が無くなって、何の義理でモノクロ薬品を作り続けないといけないのかと。こちらの薬品たちも「そろそろ」かなと思う。
これで日本製のモノクロフィルムと印画紙がついになくなることになった。寂しい限りだが仕方ないとしか言いようがない。
デジタルカメラでさえ、スマホに押され苦境だ。(2017年はミラーレスのみ上向きになったというが・・・)
国内ミラーレスカメラ販売台数、4年ぶりに増加 - デジカメ Watch
行けアクロス!忌まわしき記憶と共に!いやいや、いい記憶でした。
この写真なんて、プリントして驚いたもの。
空のトーンがとても綺麗だったし、高性能フィルムって感じだった。
フィルムブームなの?
なぜか自分の周りではフィルムを始める人が多いような気がしているし、自家現像を始める人も多いような気がしている。
私のブログで現在、一番検索されるのは「自家現像」の記事だ。
皆、お店へ現像に出すのを苦労しているか、もっと楽しみたいと思っているようだ。
しかしだ。これは井の中の蛙ではないのか?"ブーム"と言ったってブームなだけ。
写真においてフィルムはメインストリートではない。
一瞬燃えて、すぐに燃え尽きるものだと思っている。
「写真家」の方も作品がフィルムからデジタルになっている方も多くいると思う。
モノクロフィルムの大御所たちと言われる、森山大道氏、北井一夫氏、セイケトミオ氏がフィルムからデジタルに移行している姿を現に見て来た。
また「カメラマン」の方はすでにデジタルじゃないと(クライアントがあえてフィルムでと言わない限り)仕事にならないだろうと思う。
案外、プロの方が飄々としている感じを受ける。
あくまで趣味の範囲でのフィルムはとても趣味性が高く、面白いものだと思う。
これはデジタルカメラにも言えることだが、写真(趣味)はこだわり、試行錯誤など広範囲にわたって楽しむことができる。
趣味はこだわってなんぼだと思うし、キリがなくてもいいと思う。
仕事だとキリがなかったら仕事を終えることができない。
趣味のように後でもう一度なんて言って、放っておくことはできない。納期に仕上げないといけない。
量販店のDPEコーナーに行って、最近フィルムの現像は増えましたか?と尋ねると、ええ、増えましたねぇ。特に写ルンですが増えましたと言われた。
2016年末ぐらいから増え始めた感じがすると言われた。確かにその頃から写ルンですがブームになったように思う。
富士の英断により「30周年記念モデル」が出たりすごいなと思った。(100周年のニコンはダンスだぞ!ダンス!頑張れ!ニコン!応援している!)私も買って楽しんだ。
これがブームかと。フィルムはとてもニッチな趣味なんだなと。
このラバースーツが使いやすいよ。
企業としての判断
ただ、ブームでも「商い」には足りない消費量だったということだ。
企業は損得で動いているのだから、需要が落ちれば供給を減らすのは当たり前。
特に富士フイルムのように分散させている企業は不採算部門はざっくり切ってくるということだと思う。
コダックのようにフィルムにこだわって選択集中したら潰れそうになったりしている場合ではない。
イーストマン・コダック、連邦倒産法第11章を申請 - デジカメ Watch Watch
現在のコダックのフィルムはコダックアラリスの製品ということになっている。
現在のフィルム
本社のコダックのフィルムを支えているのは映画だろうか。
最近だとダンケルクとインターステラーのフィルムが有名か。あの70mmフィルムはやっぱりでかいね。
70mmフィルムカメラといえばKE-4、コンバットグラフィック。
signal corps KE-4(1) combat graflex camera set | bruiser52 | Flickr
Combat Graphic - Camera-wiki.org - The free camera encyclopedia
北野武の映画も全て35mmフィルム。
映画『アウトレイジ 最終章』― 撮影 柳島克己氏 インタビュー
https://www.kodakjapan.com/motionjp-mag089
まぁ、今の所フィルムは映画で保っていると行った方がいいか。映画見に行こうな。
もともと35mmフィルムは映画用70mmフィルムを二つに分けているから原点回帰といったところかな?
https://ja.wikipedia.org/wiki/135フィルム#最初期の35mm判スチルカメラ
あ、ちなみに120フィルムは120"mm"じゃないよ!
あとね"TRY"-Xでもないよ!挑戦じゃないよ!トリプルXのTRI-Xだよ!
二極化が進む
フィルム写真はのんびり手に入るもので撮って、お店現像で1週間、2週間でも1ヶ月でも待つか(機械現像機で使う現像液の鮮度の問題で未現像フィルムをラボで溜めてから一気に現像?)、自家現像、自家プリントの方向へ進んでいくかの二極化へと向かっている感じ。
あとは新品フィルムカメラがほぼ買えないので、良品の中古フィルムカメラの取り合いが生じるだろう。
修理屋さんが困るケースが増えると思う。修理品が増えて受けきれないか、そろそろ直せないものが出てくると思う。
また、フィルムに限らず、デジタルカメラものんびりスマホとエントリクラスのミラーレスか、気合いを入れてフルスペックの一眼レフorミラーレスに進んでいくのだと思う。
これからもフィルムを使いたい
アクロスと印画紙の終了は致し方なし。他のメーカーも辿ってきた道だ。
もう、騒いでも仕方ない。批判しても仕方がない。
むしろ今まで販売してくれたことを感謝したい。もともとISO400が常用だったのでプレストの時のように買いだめもしない。
また私はフィルム原理主義者でもない。デジタルも使いたいときに使う。
それでも、今後も可能な限りフィルムを使っていきたい。フィルムが好きだから。
自家調合?
あとさー、今回、一瞬、薬品も無くなるんじゃないかと思って、ついに薬品を作る時が来たか!?と逆に盛り上がったよね。
アスコルビン酸!天秤!とかさ〜。分銅をピンセットでつまむのよ。全裸で白衣とか来て。
いいじゃん、雨の日撮影に行けなかったら、自宅で現像液を調合しているの。老後は外でできる趣味と家でできる趣味二つ持っていた方がいいみたいよ。
あとは湿板写真とかさー。
今、小学校では天秤とか分銅って使っているのかな?なんかさ、重さの概念ってあの分銅にあったような気がするんだよね。
今、天秤が熱い!?
アスコルビン酸はビタミンC。余ったら舐めててもいいな。
ビタミンCならE-76というのを作ればいいのかな?ほぼD-76。
処方
E-76を1000mlを作る時
・水50度を750cc
・フェニドン0.2g=メトール2g
・無水亜硫酸ナトリウム 100 g
・アスコルビン酸 8.0 g
・ホウ砂 10 g
・水を加えて総量 1000 ml
簡単そうだ。これなら作れそう。
E-76 ビタミンC現像液 | tokyo-photo.net
写真を始めた時からお世話になっております。tokyo-photo.netさん。
メトール
無水亜硫酸ソーダ
ホウ砂
え?全部アマゾンで揃うじゃん!
でも、できれば森本化成さんから買ってあげたい。
なんか自分で作った方が安いな。ワクワク。
復活するフィルム
さて、さて、暗い話題になってしまったが、復活するフィルムもある。
いや、復活したものがある。モノクロフィルムではコダックのT-MAX3200。B&Hでは$8.75=927.5円(106円/ドル)妥当な値段かと。
日本ではかわうそ商店さんなどの個人の販売店で販売されている。今の所ヨドバシなどの量販店では見当たらない。
かわうそ商店 / 超高感度白黒フィルム KODAK T-MAX P3200-135-36枚撮 1本
また、同じくコダックからリバーサルフィルムのエクタロームが復活する予定だ。
https://www.kodakjapan.com/motionjp-news1701
ほんとすごいことだよね。一度やめたラインを復活させるとか。
この復活するまでどんな工程を踏んでいるのか気になるぐらい。
もうね、日本で販売しなくてもいい。輸入してでも使うから。
T-MAX3200が思いの外安かったのでB&Hではエクタロームは15ドル=1590円ぐらいかなーと踏んでいる。甘いかな?
先日もフィルムを個人輸入した。47%オフだった。
アメリカから届いた。注文してからちょうど10日。HP5の長巻2個と120を10本。アメリカ送料込みのトータルで計算したら日本で買うより47%オフだった。https://t.co/ytgAYbd9bY 買い方を参考までに pic.twitter.com/znbT0Iskuu
— アレモコレモ (@_aremokoremo_) 2018年3月25日
アクロス復活!
6月10日になんとアクロスが復活すると発表された。
名前はアクロスIIとなるとのこと。
入手困難になった原材料の代替品の研究や新たな原材料に合わせた製造プロセスの抜本的な見直しにより、このたび、黒白フィルム「アクロスII」の開発に成功しました。
世界最高水準の粒状性と立体的な階調再現で超高画質を実現 黒白フィルム「ネオパン100 ACROS(アクロス)II」 新開発 : ニュースリリース | 富士フイルム
すごいね、富士フイルム。あえてこの時代に新型を出すなんて。さすが一流企業といったところか。
さらにブローニーフィルムも出すというのだからすごいとしか言えない。
お値段も気になるが、値上げは避けられないだろう。135フィルムで一本800~1000円ぐらいかな。1000円超えてくるかな?
2019年秋発売とのことなので期待して待ちたい。
追記:アクロスIIの生産国は?
2019年11月22日 追記
アクロスIIが本日より発売された。
しかし、TL上では21日に手に入れた方もいらして、盛り上がっていると思ったら、箱に「Made in UK」とあるというのだ。
画像を見ると確かに"UK"とある。
様々な憶測が飛び交う。あらら、これはイルフォードのOEMかなど。
これではラチが開かないと思い、昨日、富士フィルムに問い合わせたところ、本日お返事が来た。
内容は以下の通り。
ACROSIIの生産国ですが、外部生産委託先のUK工場にて
生産をしております。
品質を決定づけるコアな材料(乳剤)は、富士フイルムの足柄で開発・生産しておりますが、需要に見合った安定的な品質、コストで継続生産できるよう、最終製品の生産(塗布・加工)は、外部に委託しています。
とのこと。
つまり乳剤は日本で行い、塗布・加工はイギリスでの委託とのこと。
これはイルフォードと見てまず間違いないと思う。
しかし、憶測のイルフォードのOEMではなく、本当に新しい乳剤を作ったのはフジもこのご時世に頑張ったと思う。
新しい乳剤を使った富士のアクロスIIはどんな写りをするのだろうか。ぜひ使ってみたい。
1000円程度。
120フィルムも1本から買えるようになったのはいいんじゃないかな。
輸入してみる?