暑い晴れた日に印西市の結縁寺と多聞院へ行ってきた。車から降りると覚悟を決めないとダメなぐらい暑かった。
冬に訪れて以来。
この日はのんびり午後からと言うことで中判カメラのBronica S2と広角レンズのNikkor-H 5cm f3.5にリバーサルフィルムのフジプロビア100F。
5本で9000円か・・・。高くなっちまって・・・。
目次
結縁寺
かなり暑い。暑い。"熱い"。日差しが痛い。
よく晴れた天気の良い日に井戸を覗くと白蓮の花が咲いているところが見えたから、晴天山結縁寺。そして井戸は花井戸と呼ばれたと。
水面には蓮の花。いつも冬に訪れていたので新鮮ではあった。秋は彼岸花で有名なお寺だ。
ジニア。百日草。
ちょっと撮ってすぐに日陰に逃げる。
きちんと手入れされている境内だった。
水神池
結縁寺周辺は里山になっているが、水神池周辺も見どころ。
かなりの鯉が棲んでいるようだった。亀も来た。
熊野神社
15世紀にこの近くにある「源頼政塚」を慕って訪れた女性が入定したとのこと。
社殿の方は登ってみたけれど、露出が足りず撮れなかった。f3.5とISO100ではほぼ闇。
里山を歩く
ケイトウとカカシと稲穂に散歩のおじいさん=田舎。好きな光景だ。
なんとソテツの芽。新芽。こうやって咲くんだ。一つ一つバラけてくる感じ。
この辺りでどのように撮ったらいいかなぁなどど、ぶつぶつ言っていたら、妻が「考えるな感じろ!」と言い始めた。ははっ!と受け流していたのだが・・・。
このまま、頼政塚へ向かってみることにした。
感じたから撮った
途中、これはなんだろうと思い、転ぶといけないので妻にカメラを預けてこの斜面を登って覗いてみた。
と、ここでスマホでパチパチ撮っていたら、後ろから背中越しにガシャポン!とブロニカでしか聞けないシャッター音(YouTubeリンク)が静かな里山に響き渡った。
一瞬呆然としたがすぐに理解した。
「え?今、シャッター切った?」
振り返ると供養塔の下の道端でこちらを向いてカメラを握りしめた妻がにこやかに「感じたんだよ」と言う。
「は?」
「だから、さっき言ったでしょ?"考えるな感じろ"って、だから撮ったの」
「え?」
「感じたの」
「はい」
「だから撮ったの」
「はい、露出は?」
「は?知らない。感じたから」
「は?」
2022年の暑い夏の日。
供養塔の横に立って詰問する私。
道端で「感じた」と発する妻。
私が恐れていることは露出。
調整していなければさっき明るいところで撮ったのでf8の1/250のまま。
「絞りは?」
「うんいじってない」
「ここの露出は?」
「知らない」
「いや、ここ、f3.5の1/60ぐらいしかないと思うよ?」
「だから、感じたんだよ」
「意味不明だよ」
「感じたからね」
「最後の一枚なんだけれど・・・」
「え?感じたんだもん。仕方ないよね?」
「うん、次の頼政塚のために残しておいたんだけれど」
「え?感じたから」
「そうか」
「うん」
カリカリカリと巻き上げていく妻。
「終わったよ。巻き上がった」
「そうか。軽くなった?」
「うん、フィルム抜けた感じした」
「オーケーオーケー。感じたんだね?」
「うん、感じた」
ならいいいの。
「うん、だよね?」
「いっぱい感じたの?」
「ううん、ちょっとだけ」
「そう」
「うん」
「行こうか」
「うん」
うっすら私が写っていることに愛を感じたよ。
頼政塚へ
いつもより暗いと思った。
平家に敗れた源頼政は平等院にて自害するも、首は東国へ持っていけ、首が重くなって動けなくなったところに埋葬せよと家臣に命ずる。
家臣は馬に乗ってここに着いた時に首が重くなり動けなくなったので、ここの頼政の首を埋葬したという。
京都の亀岡市にの頼政塚の方が有名かな。
上記の熊野神社そばで入定した女性もこの頼政塚を目指してこの地に来たという。
この頼政の首を運んだ馬の「名馬塚」も近くにある。(馬頭観音)
頼政塚の木にぶら下がっている黒い糸。農作業などで手首が痛い時にこの黒い糸を巻くと不思議と痛みが取れるという。
私はリバーサルフィルム一枚分の心の痛みがあったので、これをもらって胸に巻き付けようかと思い、糸に手を伸ばしたら妻が突然横で叫んだ。
「取っちゃダメ!」
それはこっちのセリフだ!
「撮っちゃダメ!」
あなかしこ、あなかしこ。
夕暮れ時のいとおかし
里山風景。印西はいいところ。
何かを感じた妻。
シーンとしていたが、じっとりと暑い日。
このあと、近くの多聞院へ寄ってみることにした。
5本で9000円。1本で1800円。12枚撮りなので1コマ、150円。いとおかし。
1年ぶりか。