HASSELBLAD SWCを持って養老渓谷にある、弘文洞跡に行ってきた。
弘文洞跡はもともと人力で掘られた川回し際に作られた隧道だったのだが、1979年(昭和54年)に天井(通行できる道路だったらしい)が崩落して現在の形になったところで崩落前は川で遊んでいる写真などが残っているが、現在は立ち入りできないようになっている。
なんと1975年に撮られた崩落前の動画があった。崩落している以外全然変わらない。
結構様々なブログとかで市区町村の公式HPをリンク貼ってあるのを見て、リンクを押すと「存在しません」ってなるの多くない?
なので、天下のWikiを貼っておく。
そこで川を挟んで反対側から見ることになるので、やっぱり中判広角ドーンだろうってことで換算21mmのHASSELBLADのSWCを持っていった。
現地でフィルムを装填して、てくてく川沿いを歩いて行く。
時折何枚かシャッターを切った。
そして弘文洞跡の前にたどり着いた。す、すごい。これは迫力がある。
川を挟んで向こう側に見る。とりあえず押さえでスマホで。
一歩間違えると川に落ちてしまうので超広角レンズのBiogon 38mm f4,5で撮るときはついつい寄って行ってしまうので注意だなと思いつつ、シャッターを切る。
目測なので無限かなとか。
数枚撮ったのだが、中にはよっしゃー、これは絶対に綺麗に撮れてる!と言う"手応え"もあった。
ニヤニヤしながら、帰り道にも撮ってーとおねだりして養老渓谷をバックにSWCを撮ってもらう。
これでブログの"アイキャッチ"にも困らない。ふふふー。
この辺りも紅葉の時期になったら結構混むのかなぁとか。
ここでは誰もすれ違わなかったけれど、ここに至るまでの「向山トンネル(隧道)」を見に来ている方々は多かったような気がする。
向山トンネル(隧道)の記事
あれ?2年以上前に亀岩の洞窟(濃溝の滝)にもいっているのか。
今もすごい混んでいるらしいが・・・。
開墾場の滝へ
さて、弘文洞跡で撮った後に開墾場の滝へ向かった。
この辺。ほんと分からなくて困った。正式なHPなどはないと思う。
個人の方のブログなどで訪問記が書かれている。
滝壺を目指したのだが、結局、わからず仕舞い。
さらに陽も陰ってきて、ISO400でf4,5のBiogonで中判カメラ手持ちなので焦ってきた。
とりあえず、滝の上部にある隧道を目指して探してみたところ、入り口らしきところを発見し、早速降りていった。
カメラをたすき掛けにして、恐る恐る進んでいく。(これは失敗。きちんと仕舞うべきだった。)
怪我などで遭難したら、やばい感じだったので携帯のアンテナが入っていることを確認して、急峻な斜面を降りて行く。
これは落ちたら救助要請だな・・・。この川沿いに進めばあるはず。
途中でも圏内であることを確認しながら進んでいく。体感的にはかなり歩いた。
途中間違っているんじゃないかとなんども不安になった。
息は切れるし、足はガクガク。
あった!ここだ。
回り込んで川沿いに降りてみた。
iPhoneをいそいそと取り出して、カシャー、カシャー。
早くしないと陽が暮れてしまう。
露出計で測るとf4で1/15・・・ああ、もうこれは神様に祈りながらシャッターを切るしかないと念じながら、SWCでも撮る。
チャキーっと言う長めシャッター音が川面に響く。ブレてませんように!
引けない場所での広角レンズはいいね。iPhoneの29mmより広角の21mmだから楽々全景が入った。
現実的な写真を撮るには28mmが限界かなと思う。
たまに21mmなどの飛び道具で撮ると面白いよなーとかなんとか思いながら川沿いを歩く。
正面から。これで高さ7mぐらい?人が立っているとわかりやすいんだが・・・。
ここから10mほど下に滝壺があるらしいが、一人なので万が一を考えると危険と思い、これ以上近づかないようにした。
開墾場の滝はここから下に流れている。
つまり滝壺はこの下にある。
多くの方が滝壺に行って、こちらに回り込んでいるようだ。
ここも人力で掘られた川回しでこのような隧道も手掘りだろう。いつ頃に作られたものかはまだわからない。
ここからもSWCで撮る。準備をしていたら、石の苔で滑って川に落ちそうになった。スパイク付きのブーツが欲しい・・・。
今回は本当に落ちると思ったのでカメラだけは!と思って全く受け身を取らないつもりでいたが、ギリギリで立っていられた。
ここで怪我したら救助要請だな・・・と思うと怖かった。
全くもって装備不足。ほんと無知な私を責めたい。
とりあえず、耐えられる露出で数枚撮って退散。
帰り道は登りなのですごく辛い。足元もグズグズでさらに体力を奪われる。
しかし!今回は撮れた!以前、「T秘境」に訪れたときは橋が落ちていて進めなかったので撮れなかったことを考えるとすごくうれしかった!
最後の斜面を登って行く。全然道路が見えない。
この写真だけだったら遭難中と言われても分からないだろうな。
このときは、「あ、ここはツイッターで"まだ見ぬフード探してます"とかネタができるな」なんて思ってた。
道に戻ってきて、近場の三島湖(ダム)で隧道を撮ったりして12枚撮りきった。
最後にクランクを巻き上げて行くとすっと力が抜けて軽くなったので、巻き上がったなと確認。
今取り出すのも不安だから、自宅で取り出そうとそのまま仕舞う。
さらにContax IIにBIogon 3.5cm f2,8を付けてダム周辺を撮ったり、陽が暮れるまで「Biogonづくし」を楽しんだ。
SWCが牙を剝くとき
帰宅し、よし撮れた。今回は撮れたと思い、牛のように1日の記憶を脳内Biogonで反芻していた。
フィルムを取り出してSWCを仕舞おうとした。その時だった!SWCが突如、私に牙をむいた。
ロックレバーを外してマガジンからフィルム出したそのとき!
え?
なんで?
なぜ撮影済みである「EXPOSED」がないの?巻き上げ途中でちぎれた?
まぁ、まぁ、それなら巻き上がっているから問題ない・・・問題ない・・・問題あるー!
フィルムの裏返し
フィルムを取り出してみてみたら、なんと裏返しに巻き上がっていた!
どう言うことかわからない・・・。つまり・・・?
つまり、フィルム装填時に乳剤面を出すように装填せずにロール紙を感光する側に向かって装填してしまった!
(理屈がわからない方、中判カメラを買ってみ)
ここ最近、ローライが多かったからか・・・!?
(理屈がわからない方、ローライ買ってみ)
裏表逆に装填してしまった!と言うことは・・・12コマ全て、紙に露光していたと言うことになり・・・フィルムには一切露光されず、ただ12コマ紙(神)に念写していただけ・・・。
スタート位置も慎重に合わせたのに・・・。
(理屈がわからない方、HASSELとかBronica買ってみ)
フィルムを手にして茫然自失。意識喪失。(後日談として聞くと私は白目を剥き、泡を吹いて倒れていたらしい)
テーブルの前でしばらく静かに過ごした。
何分、何時間経った頃だろうか、やっと我を取り戻したとき、走馬灯の如く、開墾場の滝の壮絶な斜面を思い出し、身震いした。
私は震えていた。
そして戸惑い、困惑し、輪ゴムで逆巻になったフィルムを固定し、テーブルに置いてみた。
現像してみようと思った
「現像しよう」
なぜ、そう思ったのか今でもわからないが、もしかして逆じゃなかったかもしれない。
そう信じたかった。
写っていることはあり得ないのだが、絶対はないと意味不明な事を信じてしまった。
多分あの時なら壺を買ったと思う。
そんな切なる思いとともに現像タンクを振った。写っていてほしい。
しかし、心のどこかで「写っているわけない」と認めている自分もいた。
結果。
透明。
向こう側が透けてる。
しかも綺麗にILFORD HP5の文字が出ている。これは現像成功の証。
そこには何もないと言うことは・・・紙に念写していただけ・・・。
神よ!神は存在しないのか!
Biogonの名前の由来は生きとし生けるものすべてが写ると言うことではなかったのか!
いや、HP5の120フィルムがいくらだったとか全然考えないのよ、こう言うとき。
なぜかコスパとか全然よぎらないのね。
むしろ、あの写真を返せとしか思えないの。お金ならいくらでも出すって思うの。
不思議ね。
結論、HASSELBLAD SWCで念写はできません。iPhoneすごい!
念写できる方募集中。
810円!たけぇ!
友吉さん、私は信じるよ。たとえそれオカルトであっても。
リベンジ