だいぶ前になってしまうが、ISO20のモノクロフィルム「ADOX CMS20II」を以前から使ってみたいと思っていたところ、フォロワーさんからのご厚意でいただくことができ、遅まきながらやっと試すことができた。
・かわうそ商店 / 白黒フィルム ADOX(アドックス) CMS20 Ⅱ 135-36枚撮り 1本
CMS20IIはこちらで購入できる。
このフィルムは高解像で超がつくほどの微粒子。ルーペで見ても粒子が見えないほど。さらにFOVEON物件じゃないけれどかなりの解像度があり質感もすごいらしい。
ISO20はISO400と4段ぐらいの差がある
ISO20はどんな露出かと言うと普段常用のISO400が晴天時でEV16(例:f8と1/1000)ならISO20だとEV12で(例:f8と1/125)と4段ほどの違い。
ということはf2.8で1/1000程度なのでf2.8のレンズなら開放が使える。今年の夏は暑すぎて晴天時は厳しいので秋から冬の晴天時に使うと面白いかも?
なので、今回のISO20ならISO400から4段開いて撮るという感じ。ISO100なら2段。さてどんな写りか。
市原市光徳寺の五百羅漢
撮影場所は千葉県市原市にある「光徳寺」に「五百羅漢」があって一度行ってみたいと思っていた。
今回はContax IにSonnar 5cm f2。なるべくf1.4などの高速レンズを使おうと思ったが、f1.5のSonnarじゃなくても夏の日中ならf2もあれば大丈夫だろうという判断。
孫の手を持った羅漢の後ろで。暑さのためかほとんど人がいなかった。
ISO20は開放祭りになる
早速1枚目。どうだ!?f2.8で1/100。独特だなと思う。ピントが来ているところはキリリとしている。シャドウ部分は少しゆるいか?
同じ露出で。少しアンダー。開放はなるべく避けられるのなら避けた方がレンズの解像度も上がると思ったから可能な限り一、二段絞った。こういう石仏などの石の質感はすごい。モノクロとの相性もいいかも?
逆光気味だとフレアっぽい。そこに整然と並ぶ羅漢たち。向こうに見えるのは本堂。
見てくれこの質感。FOVEONとまでは言わないがかなりのものだと思う。ルーペで見て驚いた。f2.8で1m辺りだったと思う。
ひょうきんにも見える。f4で。しっとりして来たか?穏やか?
f2、1/50辺りだったと思う。草履撮りたくなるね。
こちらもf2開放だったかと思う。どうだこの質感。
全体を撮りたかったので絞ってf4で1/50。このように羅漢が整然と並んでいる様は圧巻。お寺の雰囲気も良く、一度は見てみてもいいところだと思った。
f2開放で撮ってみた。逆光気味なのも手伝ってかなりふわっとして来た。
ISO20だと容易に開放で撮れるが1/30(ISO20だと日陰ならすぐにf2の1/30ぐらいにはなる!)ぐらいにならない限り、このレンズは開放よりもf2.8、f4あたりがキリッとして面白い気がする。f1.5ならなおさらf2、f2.8辺りで撮りたくなると思った。
この辺りはSonnarの特性もあるのかな。でも開放の収差の少なさはいいなと思う。(古いガウス型と比べて)
ひっそりと神輿が置いてあった。もう今は使われていないのだろうか。ここまで暗い日陰だと露出はf2でも1/20~50などになって来る。手ブレとの戦い。高解像度のフィルムだとブレも目立ってくると思う。
参道には紫陽花がまだ咲いており、そこに干支を模した像があった。
トーンカーブをいじってシャドウを潰し、日差しが差し込んでいる感じが出せるように頑張ってみた。紫陽花のハイライトがにじんでいるのがこの古いSonnarの描写かな。好き。
すでに開放f2、1/20で固定になってる。ISO400ならf4で1/100などまで絞れるというところ。
秋元牧場へ移動してから数枚
光徳寺から移動して秋元牧場へ行き、厩舎そばで。秋元牧場はモノクロ向けの被写体で溢れてる。質感もよく出ているかな?f4の1/100だったと思う。
この日は晴天になったり薄曇りに変わったりする日で最大でもf5.6の1/100あたり。少し陰ってくるとあっという間にf2.8の1/100まで開くことになる。
夕方に訪れたので馬たちはすでに厩舎にいた。16時ごろだったが西日が差して来ていてf2.8の1/100で撮れた。しかし、この馬面の質感たるやすごいな。毛並みもすごい。
少し晴れるとすぐにオーバーになった。白っぽいサラブレッドなのでOK?白秋さん。
飼育員さんに「あれ?道産子もいましたよね?」と尋ねるとわざわざ厩舎のドアを開けてくれた。すると、すっと出て来て、「誰?誰が来たの?」と好奇心いっぱいの表情でこちらを見て来た。
立派な足。すごいでしょ?この解像感。私もびっくり。f2.8。飼育員さんに近寄って触っても大丈夫ですよと言われて近寄ってみた。
以前訪れた時に正面から手を出すと怖がってしまうからと教わったので横から・・・と思ったらブルルッ!と好奇心で匂いを嗅ごうとしてくる。うわっと腰が引ける。
見てよ、この血管とか鼻のあたり。
横に立ってじっとしていると大きな鼻ですんすん匂いを嗅いでくる。かわいい。しかし、このあと事件が起こった。
この日は3人で出かけたのだけれど、1人の女性同行者がなんと馬に噛まれた。
腕の匂いを嗅がせていたら手首から少し上の肘あたりを噛まれたとか。見てみると少し青くなっている。思わず笑ってしまった。すんすん匂いを嗅がせていたら突然グッと噛まれたとか。
馬なので前歯が鋭いわけではなく「臼型」になっているので「噛む」というより「挟まれる感じ」だったらしい。そのおかげで青あざになったらしい。いわくそんなに痛くなかったけれど、そこそこ力はあったとか。
調べると馬の噛むという行動はもう少し構ってくれ〜ということもあるらしく、匂いを嗅いで安心して遊んで来たのかもしれない。攻撃をしてくるという感じは全くなかった。しかし、動物って癒されるし、オモシレー。
ISO20のCMS20IIというフィルムについて
まずフィルムを装填する時にその薄さに驚く。本当に薄い。多分今までで一番薄い。極薄。個人的には厚めが好き。極厚。
0.01と0.02の違いはわからないけれど0.02と0.03の違いはわかるよね?いやん。
さて。あのね、フィルム装填の時から「ちぎれないか」不安があったけれど、無事撮りきれた。
次の問題は現像。現像時のリール巻きの時にこの極薄のため、最初は巻きつけにくく、かなりひしゃげてしまって大変だった。するする巻くまでダークバックの中で少し格闘してしまった。マスコのリールは爪がないので逆に良かったかなと。
現像は専用の現像液を使わないといけないらしく。ADOXのADOTECH現像液を使用する。(これもセットでいただいた)基本1:14で10分なので500ccに対して33ccの原液を入れるのに注射器を使った。これも大変だったな。
仕上がりはクリアベースでポジみたいな感じ。Rollei Retro 400Sの方がクリアかな。スキャンしてみるとポジのような感じも受けた。
これもISO200ぐらいで撮った方がいいと思う。
Rollei 400Sで撮った記事。ISO400だとアンダー気味になった。
ネガを見た印象としてはすこしハイライトからシャドウが飛んでしまったかなと。
あと露出不足(フィルムベースの"ADOX CMS20"の文字が綺麗に出ているので現像には問題ない)なのかアンダーが多かった。
常用しているILFORDのHP5+に比べて露出にシビアな感じ。実効感度はISO20ないのかもしれない。こればかりは試してみないとわからないなー。
今度はISO12で撮った方がいいかも?
説明書にも晴天時にシャドウを出したいときにはISO12で、曇っているときISO16~20程度で撮ると良いと書いてあったのがこのことかと。
今度晴天、曇天に関わらずISO12ぐらいで撮って見た方が安心かもしれないと思った仕上がりだった。
あと露出計の入っているカメラでもきちんと撮ってみるのも一つの手かなと。F3と50mm f1.4とかM6にSummilux 35mm f1.4とかで撮ってみるのもいいかも。
今まで使ったことのないフィルムを使うときはある程度テストをしないとダメだなぁと実感した次第。
ブラコンかっこいいだろー?フードもすごく探したぜー。フード被せなんだけれどすぽって簡単に抜けてしまうのでパーマセルテープで固定。
あ、M6にアメデオアダプターで今度はSonnar 5cm f1,5をつけてもいいか!うふふ〜。
ちょっとお高めだけれど、精度もすごいしピントもバッチリくる。
さらに最新の50mm専用アダプターはContaxだと90cmまでしか寄れなかったものが70cmまで寄れるようになるぞ!欲しいぞ!
・【新製品】50mmレンズ専用アダプター発売 : Amedeo Adapter Japan
そろそろ露出計アプリから脱却しないか?一個持っていると色々と勉強になるよ。
これへISO400のフィルムで撮った同じセット。フィルムが違うと全然違う。