10年越しのLeica M4ブラックペイント118万1千番台がやってきた

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M4ブラックペイント118万1千番台。

長かった。本当に長かった。ここまで足掛け10年。

初めてブラックペイントのM4を買ったのは2010年。その前から、ずっと探していたのはM4ブラックペイントの118万1千番台。

欲しかった。欲しかった。そんな日々。

目次

M4BP 1181が私の元へやってきた

ある日、メッセージが入った。

「アレモさん、まだ1181探しておられますか?」

私が勝手に「世界的な1181コレクター」と私が呼んでいる、Hektorさんからの連絡だった。

www.instagram.com

垂涎もののライカがいっぱいあるぞ!是非フォローして欲しい!

そして過去の写真にあるモデルさんの写真もいいぞ!モデルさんを紹介して欲しいぞ!

いつも何か1181の出物があったら教えてくださいと伝えていたので、何か出たのかなと思った。

私は「ええ、もちろんです」と即答した。

すると、手元にある複数台ある1181の一台をを手放すつもりだとおっしゃるではないか。

しかし・・・1181と言ったら(気づいたらM4BPの1181番台を端折って1181と呼んでいた)、相当な値段になるであろう。

程度はいかがでしょうか?

かなり綺麗です。もしよければどうですか?とのお誘いであった。

画像も送っていただいたところ、今まで見た中でも一、二を争うほどの綺麗さ。これは・・・やっぱり、お値段すごいんじゃ・・・。

しかし、提示された、お値段は破格だった。破格だ。

まさにM4BP 1181美品の格を破ってる。

それでも今まで買ったカメラの中では一番高い。

M4BP 1181はそれだけの価値があると思っているので、全てのM型を手放しても全く問題ないと思っていた。

このM4BP 1181を手に入れるためにはM型全てを手放すことは、いつも公言して憚らなったしね。

ちなみにズミルックス35mm f1.4の初期も持てる全ての35mmレンズを手放して買うレンズだと思っている。

いつもHektorさんに1181を見つけたらお願いします!と伝えてあったので、Hektorさんは気にかけてくださっていたのだろう。

今回は破格のお値段であり、ありがたいお話だが・・・綺麗目な1181と言ったら、もう私が手を出せる値段ではなくなっている。

M4BPの1181自体、海外の方の取引が盛んになってしまって、海外だと安くても10年前の5倍ぐらいの値段がついてしまっていると聞いていた。

ほとんどのPriceがAskになるほど。

今回のM4BP 1181もおそらくExtream Rare!!とかついてもおかしくない。

ただ、ライカの5倍値上がりということは私にとっては油田が必要なレベル。

今回は手持ちのM型ライカ、M3、M4BP(124万台)、M6では足りないだろうということ。

さらに最近、気分的に重荷になって手放して6枚玉にしようかと思っていた、8枚玉のズミクロン35mm f2も上乗せしても足りないです・・・と弱音を吐いた。

いまや8枚玉は40万からといった感じではある、売れっ子レンズだ。

私は14万円で手に入れた。ああ、時代だなと。

そう、いくら売値が高いものであっても整備や売り上げを考えると「買取、下取り」は他のカメラよりは強いがライカも弱い。

私が今出せるものはこれだけだ・・・これで一度、思い当たるお店に査定へ出してダメなら今回は縁がなかったとして諦めますと返信する。

すると思いも寄らぬ返信が来た。

テイザー!テイザー!

「いいですよ、その下取り品と交換で」と。

その瞬間、身体中に電撃が走り、私はソファーの上で痺れて動けなくなった。

テイザー!テイザー!と聞こえた気がする。

トレーニング用 

あの時は絶対にSWATが突入してきて、私にテイザーガンを浴びせたに違いない。

いいんですか!

いいんです!

お願いします!

お願いします!

ビリビリ!

これだけで十分だった。

その日のうちに

では、改めて日程を決めて・・・と返信をすると、即返信が来る方なのだが、しばらくして返信が来た。

「今日の0時ごろ、そちらに伺ってもよろしいでしょうか?」

「はっ!?もちろんです!!!!!」

即、M3、M4BP、M6を防湿庫から取り出し、点検する。

そして一番お金になりそうな、Summicron 35mm f2の8枚玉も再点検する。

外観はやれているが、レンズは綺麗だぞと。

どれも私が一番お盛んだった、2009年ごろに手に入れたものだ。

さらば!ゆけ!私の10年の記憶とともに!と叫びながら梱包していった。

これらの機材の10年の記憶の重さはこれからやってくる、M4BP 1181の重みと全く変わらないか、1181の方が重くなりそうな気がしていた。

そして、私はクルクルとライカとレンズを包んで段ボール箱に詰めた。

ファミレスでの取引

待ち合わせ場所はファミレス。

0時ちょうどに彼はやってきた。ヒットマンである。ヒットマン1181号だ。

挨拶をし、即、お互いの持ち物をテーブルに出す。

テーブルにはM3、M4BPが2台、M6、Summicron 35mmの8枚玉。

ファミレス場内が騒然となってもおかしくないラインナップ。

でも注文はドリンクバーのみ。

お互い、簡単なチェックのみで交渉成立となった。

その後、最小限のお話をした後、丁重にご挨拶をしてその場を去った。

その取引時間、トータル1時間ほどだっただろうか。

あえて言うなら、ドリンクバーでコーラを一杯しか飲まなかったので、できればもう一杯飲みたかったぐらいだ。

帰宅し、御礼のメッセージを送る。

そして、お惣菜のパックみたいに包まれた、M4BP1181を手にする。

これだ・・・。これだ・・・。

ずっと巻き上げてシャッターを切りながらぶつぶつ暗闇でつぶやいていた。

こうして「M4BP 1181」は手元にやってきた。

M4 BP 118万1千番台とは

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さて、M4ブラックペイント 1181番台とは。

1967年に500台だけ作られた、M4最初のブラックペイント。「試作品」とも取れる謎多き、Leica M4のブラックペイント。

プロ仕様のM4ブラックペイントとも言われている。

Leica | Leica M4 Black Paint - FLASHBACK CAMERA | フラッシュバック カメラ

以前は資料でもM4のブラックペイントの最初のロットは1968年の1185151~とされていた。

実際、中古カメラ市ではそのように実際売られた個体もあった。

しかし実際はその前に500台だけペイントが作られていたのだ。

当時の資料をみるとその番号帯はクローム。夢は膨らむが実際購入をするには怖すぎる。

誰を信用すれば良いというのだ。え?

Hektorさんしかいないだろ?な?

かの木村伊兵衛もこの番号帯のM4ブラックペイントを使っている。

シリアル1181541だ。41番目のM4BPと言うことになる。

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1181...

こちらでは当時の代理店「シュミット」の広告が見られる。

シリアルはなんと1181501と言う、M4BP 1181の中でも1台目だ。

これは今どこにあるのか。

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三脚を使ったような跡が少しある

お値段ペイントのSummilux 50mm f1.4とMRメーター付きで320,000円。

昭和40年の物価換算で4.2倍として、今の価値で134,4000円。

こう見ると、今のライカの値付けは妥当?

M4ブラックペイントは今、40万超えてるよね。(この1181は更に高い)Summilux 50mm f1.4のペイントに至っては100万じゃ買えない。

参照;昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか? : 日本銀行 Bank of Japan

M4の出荷は1966年11月から

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また、ここによるとクロームのM4は1966年の11月27日にシリアル1175001から始まる5000台が出荷されている。

その後もシルバークロームのM4は生産を続けているが、1967年7月20日にシリアルナンバー1181501から1182000までの500台がM3、M2に引き続き、M4ブラックペイントとして出荷されている。

M型各ブラックペイントの台数

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ちなみにM4ブラックペイントは5389台。1181はその中の500台。

M3BPは1320台。

M2BPは2451台。

参照 ; Leica Serial Numbers: M's Sorted by Type

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M4BP 1181をずっと探していた理由

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つぶつぶ

M4BPの1181がずっとM4ブラックペイントを探している時から気になっていた。

なぜか。

違うのだ。他のM4ブラックペイントとは。

まず、ペイントの塗装が違うのでM3、M2のような塗装で禿げやすい。

悪く言えば塗装が弱い。よく言えば貫禄が出ているものが多い。

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この個体はクランクの一部が塗りの個体

この個体はクランクの一部が塗りの個体だが全体の雰囲気は合っている。

そういえば1181のお決まり事はあるようだが、実際は番号帯の中で様々なバリエーションがあるらしい。

巻き上げクランク全てがペイントされているか、いないか。

バックドアの縁がペイントかクロームか、セルフタイマー、ファインダー切り替えレバーの根元にカニ目があるかないかなど。

挙げ出すときりがないが実際数多く実物を見ないとわからない。

そもそも並べて見ることがほぼ不可能ではないだろうか。

これら情報はおそらく現存している1181の中でも一番若い番号を所有しているのも含めて、トータル4台も所有している、Hektorさんの知識がこの世で一番正しいと信じられるのだ!

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カニ目、ノッチがある

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アイレットも塗りの個体がある

しかし、118万5151番以降のM4BPはほぼ同じ仕様なのだ。

最初の500台だけが他のM4BPとは違い、その中500台の中でも違いがあるのだ。

混沌としている。

それがコレクターを呼び寄せている。

私は使うコレクターなので他のとは違うM4BPというだけで探していた。と言うか、10年前当時、知っている人はみんなこれを探していた。

今ほど外資が入ってこなかったので他のM4BPとの格差は少なかった。その差額、10~15万程度と認識していた。

A型ライカが終着駅ではなかった

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ASA感度ダイヤルが真鍮ペイントのものもある

おそらくライカにハマると、ここに最後に行き着くのではないかとさえ思う。

よく「ライカはA型が終着駅」とはいうが、あれは嘘だ。私が身をもって経験した。

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ファインダーは樽型と四角がある

A型にも初期型など、いろいろあるのだ。エルマー付き、ヘクトール付き、果ては旧エルマー、エルマックス、ライツアナスチグマット付き。

そして、シャッターボタンがマッシュルームかどうか、近接エルマーか、近接旧エルマーか、底蓋は閂かどうか。

全てをクリアしていくには一台では到底かなわない。

M4BP 1181は混沌としている

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このA型のような混沌さがM4BP 1181にはあると思う。

私はM型ブラックペイントを追いかけ続け、現行のMPを2007年と2008年に新品で2回買っている。(当時の新品価格は今の半額程度だった)

しかし、すぐに手放してしまった。

飽き足らず、2010年にM2のブラックペイントを買い、すぐに追うようにM4のブラックペイントも買った。

狂っていたと自認しているので健康だと思うよ。

言い訳として、2010年頃はちょうどM9~M9-Pという初めてのフルサイズM型デジタルが出て、大変盛り上がった時で、フィルムのM型およびブラックペイント全体が暴落したのだ。

M6も今より10万ぐらい安い感じだった。

1990年ごろから2000年ごろに手に入れた方にしてみると半額以下だったらしい。

M2BPの時は満足していたが、M4の時はどちらかと言うと消極的選択だった。

かなり高い買い物だったが、下取りをいっぱい出して(下取りの中にはSummilux 35mm f1.4 ASPH.もあったのでお釣りが来た)、もう納得の行く1181は見つからない!と思い決断した。

最後の1181を見送ったのが運の尽きだった

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ハゲが少ない

2009年ごろだったか、一台、銀座で程度の良い1181を見つけたのだが、そこは相当プレミアをつけていたので避けてしまった。(と、言っても今の相場の半額以下)

また買ったことのないお店だったということもあって、高額なカメラゆえ諦めた。

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これからどんなハゲかたをするのだろう

それが最後だった。運の尽きだと思った。

それでも買ったM4BP124万台はよかった。修理名人の手の入った、その機関は絶好調だった。

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ここのビスは黒

そして10年ほど使ってきて、全く問題はなかった。

人からはM4のブラックペイントかっこいいー!と言われ続け、いいよ、これと返答し続けた。

どこかで1181が引っかかっていた

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前に持っていたM4BPよりハゲが少ない

しかし、M4BPの1181がどこかで引っかかっていた。

この10年間、時々出てくるが値段が高いか、強い凹みがあったりと手が出なかった。

もし買うなら全てのM型ライカを手放さないとダメだなと思っていた。

そんな時に訪れた好機だった。

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小さなハガレ

10年と言う時間

10年。

今回、あっけないほどすぐに手に入ったが、長かった。

しかし、ここに至るまで色々な機材に手を出してきたが、遠回りしたとは全く思っていない。

いつも、私は"最初からブラックペイント"を買えと言っているが、ここ最近考え方を改め始めている。

というのも、先日のS3ブラックの時に思ったのだ。

aremo-koremo.hatenablog.com

S3ブラックを手にした時に、これ、S2、Sと使ってきたからS3の良さ、ブラックの良さがわかるんだなって。

今回もそう。

もともと欲しいものだったけれど、前に持っていたM4BPも全く不満はなかった。先にM2BPを手放したぐらいだ。

さらにクロームのM4は2台買って使った。

M2クロームも2台

M3に至っては4台。

M5は2台。

M6は4台。

こうしてみると、ここまで使ったからこそ良し悪しもわかったし、今1181を手にして、うれしさを噛み締めることができた。

無駄遣いじゃなかったと思う。

多分、いきなり1181を買っても結局はクロームのM4を買っていたと思うし、M3も買ってたし、M2も買ってた、M6もM5も買ってた。

で、最後に残すのはM4BP 1181と言うことだろう。

順番が来たのだ。そういう。

そういうプロセスを経て、結果として残るものがあるのだと思った。

あとはバルナックライカのDIIIがあるのみだ。かなり身軽になったな。

御礼

全てはHektorさんの英断によるものだ。本当に感謝したい。

曰く、たとえ高く買取されても誰かわからない方に渡るより、安くなってもアレモさんに使ってもらいたいとのこと。

惚れた。いっぱい濡れた。

気づいたらファミレスでパンツおろして、尻だしてた。

今、私のライカ熱は治っている。レンズも高すぎて手を出せないからだ。

私が買えるものはない。交換下取りなら得られるものもあるかもしれないが、また減らさないといけない。

無理なものは無理だ。

今回のように「最終仕上げ」としてのM4BP 1181が手に入るのなら別だ。

しかも持ち出しがなく交換で。

本当に感謝したい。

"ライカは人と人をつなげる"と言われているが、まさにその通りだ。

おそらく、コレクターから見たらこの1181は使えないレベルだと思う。

しかし、私はこの1181を禿げても禿げてもスレてもスレても凹んでも凹んでも使うつもりだ。

もうこれは、一蓮托生、一衣帯水、南無妙法蓮華経だ。

最後に、このM4ブラックペイント1181番台を手に入れた日は奇しくも出荷された1967年のちょうど52年後の「2019年7月20日」の0時過ぎだったことを述べておこうと思う。

aremo-koremo.hatenablog.com

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毎年このM4BP 1181が欲しいと書いている