ある目的のためだけにしか使わないレンズやカメラ。DH(指名打者)のようなレンズやカメラ。そんなレンズやカメラを持っているだろうか。
指名されたい。
CANON 50mm f1.2 Lマウント
キヤノンが1956年に出した、超大口径レンズ。
バルナックライカにそのまま付けられるが距離計に干渉してピントが見えないのでM型ライカに使っている。またはα7に。
キヤノンはその後、1961年にf0.95という超弩級レンズを販売する。
明るいは正義、ロマンだねぇ。
実はこのレンズは消極的な選択で選んだ。
購入した5年前はミラーレスデジタルカメラ、ライカのM型デジタル全盛になろうかという時期でこのような超大口径レンズの人気が上がり始めていた。
特にライカのノクティルックス50mm f1.0は私が使った当時(9年前)に比べて倍になっていた。
現在はさらに値上がりして中古で60万越え。とてもじゃないが買えるものではない。
新品。138万2400円。自動車買える。50mm f1.0開放、最短1mだとピントの合う幅は約2.4cm。
目に合わせると鼻のピントが外れる。まつげに合わせるのは至難の技。
レンジファインダーカメラでこのピントを合わせるのは無理がある。
専用ボディにしないと合わない。
私は過去にこれをフィルムで撮っていた。
36枚同じものを撮っても5枚合っているかどうか。ほとんどダメ。
もちろん引けばそれなりに被写界深度が稼げるのでそれなりに撮りやすくなるが、薄いピントであるには違いない。
これをデジタルで撮るとどうなるか?
その場で液晶で見て撮り直しが効くので何回でもトライできるというわけで。
これが理由で一気に高騰した。もうノクチルックスは買えない。ない袖は振れない。
では他の50mm f1.0~f1.2のレンズは?
これである。NOKTON 50mm f1.1。
これはコシナが作った、現代的なレンズでそしてお値段もライカのノクチルックスに比べて1/10以下。
これも夢がある、ロマンがある。
ライカに気を使っているのかf1じゃなくてf1.1というのもいい。日本メーカーの侘び寂びである。
このスペックで実売10万以下と言うのは恐るべしコシナとしか言いようがない。
いろいろな画像などを見る限り、ちょっと写りすぎかなと思えるほど、パリッと写っている。
オールドレンズ好きの私には少しためらわれた。
そして残った(?)のがこのキヤノン 50mm f1.2である。
値段はNOKTONの半額以下。写りはオールドレンズのそれ。
程度のいいものを探して購入した。
このレンズ、クモリ玉で有名。クモリを除去しても3ヶ月で再発するとか。
幸いにも私のはまだクモッたことがない。
超大口径レンズでしか出せない雰囲気がある。
50mmのf1、f1.2のボケは望遠レンズのボケとは全く違うものである。
どうもこのレンズは開放、3mぐらいで撮るのが好きだということが最近になってやっとわかった。
3mぐらい。柔らかいボケと立体感あるピント。
日中晴れているときに使うレンズではないし、めったに使う機会は少ないが得られるものは大きい。
このシーンにはあそこではこのレンズを使いたいという目的がある。
それが年に一度であっても。
趣味とコスパは対義語である
目的の一枚を得るためにいくら出せるだろうか。
コスパという言葉で趣味を語りだすと趣味はとてもつまらないものになる。
しかし無理なものは無理だが、無理をするのも趣味だよねぇ。
趣味はコスパが悪いものなのだ。
だから無駄遣いと罵られるのだ!
しかし良き理解者に恵まれるといい買い物したねぇと言われる。
そう言われたいがためにブログなどで買ったよー!と報告するのではないか?
撮りたいものがあるから機材は決まる。
レンズを買ったから被写体が変わるというのは本末転倒ではないか?
レンズ沼は避けられないが、ここぞの一本、あなたは持っていますか?皆さんに神のご加護がありますように。アーメン。