二日目の朝5時半頃、ニャーニャーズの大合唱で目が醒める。
メシだー、メシだー、メシをだせー。
タオルケットをかけて足を出して寝ていたところ、スネがぞわぞわ。おわっと、目を開けると猫がスリスリした。
あれ。昨晩、触らせてくれなかった「こうめ」だった。
はやくメシだせやー。
おじさんとおばさんが用意をしている音を聞きながら、ごろごろして、静かにニャーニャーズのメシタイムが始まった頃に起きた。
メシだ
メシか
メシだメシだメシだメシだ
テーブル警備隊さくら隊長。
ウィンナーを食べた後のアブラが好きだ。
棚上警備隊こうめ隊長。
下駄箱警備隊ちょこ隊長。
また私を撫でに来なさい。さくらばーちゃんより。
さくら、ちょこ、こうめに挨拶して、親戚の家を後にした。
この日、目指すは小川小学校と南三陸町と中尊寺。
大川小学校、南三陸町から平泉の中尊寺へ。
HP:関山 中尊寺
ここは10年前の東北一人旅で訪れている。写真を趣味にして初めての遠出だった。
当時はNikon FM3aとPlanar 50mm f1.4とPENTAX ME SuperとFlektogon 35mm f2.4だった。いやぁ、当時はぼかしたぼかした。目一杯ぼかした。
何を撮りたかったんでしょうねぇ。何でこんなに開放バカなんでしょう。
中尊寺
中尊寺には午後3時頃に到着。以前来た時より空いていた。世界遺産に登録されたのに。どうしたんだ?
こういうのを発見すると、「ああ観光地だな」と。ちなみに弁慶のお墓が近くにある。
境内は静かでゆったりとしていて好きな雰囲気。途中の鳥居が「外されていた」ので震災のせいかなとか。
惡魔退散。物欲退散。えい!
こういうのが1000年以上前からあるのかと思うとロマンを感じる。誰が潜ったんだろうとか。
門に惹かれる。右見ても左見てもこういう光景がある。
中尊寺本堂入口。
結構でかい。
本堂隣の峯薬師堂。目の神様だとか。
「め」の絵馬。初めて見た。
薬師堂の裏手。西陽がいい感じ。
鐘楼。
金色堂はこの建物の中にある。撮影不可。16時過ぎにチケットを買って急いでみたが、やっぱり凄かった。初めて見たときは息をのむほどの煌びやかさだった。一見の価値あると思う。
10年前にもここ撮っているかもと思って撮った。
撮ってた。Flektogon 35mm f2.4。少ししゃがんでるな。ああ、Flektogonいいな。また欲しくなった。
こういう雰囲気好き。引きで撮りたくなる。苔だよなぁ。日本人としてなんか感じる。
もともと金色堂があった「覆堂(おおいどう)」の中。この中に金色堂が置かれていた。あのキンキラキンなものを外に置いてあったのかと思うとすごいなと。
覆堂を外から。GRの28mmは旅にぴったりだな。35mmでも少し狭い時がある。50mmではちょっと肩に力が入りすぎる。28mmでパチパチ撮るのが吉。
ポスターっぽく。額縁効果っていうの?
Flektogonください。
蜩の声が夏の終わりを感じさせた。
根を張って生きている。見習いたいね。あっちのレンズ、こっちのレンズ。あのカメラ何て言わずに、M6、Summilux35だけ!とか言ってみたい。
こういう風景たまらんね。日本人でよかった。日本のカメラで撮ろう。えっとローライフレックス欲しい、ハッセル欲しい。いや、ブロニカ欲しい。うん。
右側を見ると見事な竹林。
17時を回った。ほぼ観光客はいなくなった。でも閉鎖することはないみたい。
西陽が綺麗だった。
陽が暮れ始めた頃、駐車場に戻ったら、二台しか停まっていなかった。
ああ肉や肉や肉や
平泉に来たら、花巻で肉でしょう。肉。久々の牛肉。焼肉。前沢牛。ぎゅう。ちょっと調べたら「龍園」というところがおいしいらしい。
18時半頃に着いた。有名な割に並んでいない。ふふ、食べられそうだ。
外観は高級焼肉屋とは違って庶民的な雰囲気。中からは声が聞こえて、何人かお客さんがいるようだ。
ガラッと硝子戸を開けると中から煙がモウモウと出てきた。これこそ焼肉。
肉だー!席はいっぱい空いている。よかった早めに来て。
20人ぐらい座れるかなという程度の小ささ。いいよねぇ、こういう雰囲気。
店員さんのおばちゃんが言う。
「いらっしゃいませ!お名前は?」
「え?名前?アレモです」
「え?あの、予約は?」
「え?予約?」
「は。」
「してませんけれど・・・」
「あ。そうなんですか・・・」と言われて、テーブルに目をやると、なんと、すべての空きテーブルに「予約席(Reserved)」と書かれた札が立っている。まじかー、まじかー。
「そうですか・・・ちょっと待ってくださいね」
「あ、はい」
しばらく厨房で話してから、おばちゃんが戻ってくる。
「あの、今、6時半ですけれど、7時半までに食べ終わっていただけるのなら、どうにかこちらの席で食べられます」と案内をしてくれた。
「はい、もちろん!お願いします!」と無事座ることができた。
ほぼ完全予約制とは恐るべし龍園。その後も次から次へと「予約客」がどんどん来た。注文はオススメを伺うと、上カルビと。じゃあ、それで。
お値段は・・・え?2000円・・・10年前は別のところで食べたけれど、1500円ぐらいだったような・・・。
いや、ここの肉はいいんだ。うん。上カルビ、上ハラミ、あ、あと小形牧場Aカルビ!とりあえず、お願いします。というか、これ以上は払えん・・・。
はい来た。
上カルビ。
肉だ肉だ肉だ肉だ・・・もう一度肉だと言いたいがない。4枚。えっと、一枚500円。いや下衆なことは言わん。こんな綺麗なカルビ初めて見た。ロースみたいな形してる。
じゅう。喧嘩しないように。
いただきます。・・・まじかー、まじかー。とろける。やわらかい。うまい!
上ハラミ来た。隣の席に海外の人も来た。きちんと予約していたようだ。
じゅう。隣の席の海外の人の目線を感じる。目をやるとこっち見てる。
ニヤリと返すとニヤリと返ってきた。そこで私は肉をぱくり。うまいー。うまいー。うまいぞーと笑顔で返す。
彼らは3人で来ていて、微笑んでいる。話している言葉を聞くと「ロシア語」かな?と思った。
一応、ロシア語は履修したぞ。ハラミはハラショー!と言おうかと思ったがやめておいた。
来た。小形牧場。Aカルビ。小形牧場はブランドらしい。少し違いがあるかな。と思って肉をしげしげと見ていたら、隣の席はオーダーを取っていた。
ところがおばちゃんは英語は全くダメらしく、すべて日本語で話している。海外の人の英語も少したどたどしい。
モサドとおばちゃんの国際交流
伝票を持って「決まりましたか?」と尋ねているが男性は「ワンミニッツ」と言っている。まだ決まらないようだ。
しかし、おばちゃんは「え?なに?1分?」
1分・・・お・・・こ、これは・・・
男性は「おぅ・・・」と言いながらスマホを出す。ポチポチと打って、ポンと押すと、
「ワタシタチハマダチュウモンガキマッテイマセン」と音声が流れた。
おばちゃん「あ、はいはい。わかりました〜!」といいながら、こちらを見て、「いやぁ、英語わからないわー」と。「はは」と一応笑って返しておく。
ちらっと見ると彼らに渡しあるメニューは英語で書かれていた。
あーでもないこーでもないと聞き覚えのない言語で話している。ロシア語ではない?
そんなやり取りを見ながら、じゅう。いただきまーす。おいしー。おいしー。
最後のもう一枚焼こうかというところで視線を感じる。斜め向かいの20代ぐらいの男性がこちらを見ている。思わず、「ラストワン!」と言ったら「フフ」と笑っていた。
焼いている最中におばちゃん再び。「決まりましたか?」「ウーン」という感じ。
私は焼きあがったので食べようとしたら、突然おばちゃんが「あのね、お会計一人一人で払いたいんだって。でもね、うちね、それできないのよね」
そりゃそうだ、テーブルで頼むんだから後で割ればいいと思うが、そういうことではないんだろうなと。続けて「英語で何て言えばいいのかね。」と。
Aカルビを持った私、「え。」
ちらっと男性たちを見るとこっち見てる。こっち見るなー。
仕方ないアレモ流英会話炸裂させるしかない。
「会計・・・」英語でなんて言うんだっけー!いきなりつまずく。わからん。iPhoneでググる。
「会計 英語」・・・会計ーAccounting
アカウンティング?え?ちがうだろ。ほら、ビルとか言わない?あとなんだっけレストランとかで言う奴。カードじゃなくて・・・ダメだ。(帰り道調べ直した"チェック"だ)
もうすべての恥を捨てて、私は渾身の発音で「イィーチアゥザー(お互いに)」と言ってみた。
メニューを持ったまま、3人の男性達は惚けて「?」と顔になってる。当たり前か・・・。わかんねー。(eachでよかったのか?)
ええい!「ワンテーブル、ワンアカウンティング!」炸裂。
しばらく(かなり長く感じた)したあと、唯一英語を喋っている男性が「オーケー」と言ってくれた。ほ。
これでAカルビが食べられる。口に放り込む。冷めてる。ちくしょー。もぐもぐ。すると隣の唯一英語を話す男性がこちらを見ている。
ん?と見返すとニヤリと笑っている。おいしいか?と。私はサムズアップ。ぐ。
すると英語で「あのさ、カルビって何だ?」と聞いてきた。
「え?カルビ?カルビはcalbeeだろ。ちょっとメニュー見せてみ」と思って、
「ショーミー」と言って、彼らの英語メニューを見たら、カルビのところには「Sparerib~~~」と書かれている。まじかー、スペリブってまじかー。カルビってスペアリブなのか?これで通じていないのか・・・。
カルビってどこの肉なんだ?ロースならショルダーか?背中か?バック?
は!「骨つきカルビ」とか言うじゃんか。
閃いた!
私「ニアーザボーン」=骨の近く
男性達「?」・・・
ちくしょう。
ザボーンって・・・。ニアーって。
だめだ・・・通じねぇ。
見かねた英語を話す男性が「ユーのレコメンドは?」と聞いてきた。
おっと。これは今食べたからわかる。
「アイ・リコメンド・ナンバー・・・フォー」
「ユー・リコメンド?」
「イエス!」
男性3人はメニューを見ながら、何語かわからない言葉で話し合いを始める。何語だ?
堪えきれず、聞いた。
「あー、ウェアカムフロム?」
すると男性は、
「オー、イズラエル。」
「イズラエル?」
「イエス、イズラエル、ユーノーイズラエル?」
あ、イスラエルか!・・・って、イスラエルの人って初めてだ。
でも知っているぞ。テロとかモサドとかネタニヤフでいいのか?あとは軍事とかパレスチナ問題とかホロコーストとか・・・話せねー。こんな話題、焼肉屋で話せねー。
考えても出てこないので、地図を浮かべて、焼肉屋の煙たい空間を指でなぞるように、
「スペェイン、フゥランス、スィッツェランド、イゥタリー、グゥリース、地中海・・・英語でなんて言うんだっけミドルシーか?あとは、アァフリカ・・・イズラエル!」と指差すと、皆が笑顔になって、「オゥー。オーケー、オケー!」やった通じた。
すると若い子が「俺らはさー、(地中海のこと)ミェッドとか言うんだよ、あのあたりじゃさー」と英語で話してきた。多分。さっぱりわからん。
英会話した・・・のか?
調子に乗って、「アーユーツゥーリス?ファーストタイム?」と聞いた。
すると、「ノノノー。エンジニア。セカンドタイム。」え?二回目。だから予約してきたのか・・・と言うか、エンジニア?
続けて、「あのさ、東京の〜って会社でエンジニアとして働いているんだけれど、トーレニングでこっちに来ているんだ」とか言ってた。
「まじで?エンジニアなの?これの?」と片言の英語とテーブルをぽちぽち叩く真似をする。
「イエス、イエス」とテーブルを叩く。
はー、そうなの。だから、英語を喋らずにいるのか。ヘブライ語なのかな。
で、カルビとか注文し始めたが、すぐにおばちゃんが「え?アサヒ?アサヒはないのよー」と言っている。しかもこっちに。なぜだー。
「あのね、今、アサヒはないのよ、キリンしかないの。でもね、アサヒが飲みたいんだって。」と私に話しかけてくる。
いや、キリン飲めよ。だめだ・・・。
アサヒがいいと言っている一番年齢が上の感じの男性は白髪交じりの俳優のような雰囲気の人だった。
その人に向かって、「ユーニードアサヒ?」と聞く。
「イエス」とモサドの隊長は答える。そんな雰囲気だった。そう、彼らはモサド。
私は慎重に「バット、ヒアハブノットアサヒ、ヒアハブキリンオンリー」と言った。
すると隊長は「アアン、オケオケ」と頷く。
すると間髪いれず、おばちゃんが「キリンでいいね?キ・リ・ン。オーケ?」と突っ込む。こら!おいしいところだけ持っていくな。
「オーケー」
ほ、これで終わる・・・はずもなかった・・・
おばちゃんは「えーっと、ジョッキ?ビン?」と聞くが、男性陣は無論「?」となって固まっている。
「えっとね、ビンがいいかジョッキがいいかなんだけれど、グラスって言っているからピッチャーなのかね、で、ピッチャーは"ダーイ"。いい?"ダーイ"。大きいの。」と半分はこっちに向かって、半分は向こうに話す。すげぇオーダーの取り方だな。
そもそも「大(だい)」=ダーイって英語じゃねー。
彼らに「死ね」って言っているようにしか聞こえないよ。おばちゃん・・・殺されるぞ。さらに固まるイスラエル人達。
コミュニケーションは困難を極め緊張感あふれるこの空気感。たまらない。さっきのモサドの隊長は「キリン・キリン・キリン」と言っている。キリンはジラフ。このカオス。
「だからダーイ?いや、グラス?ビンでいいの?ビンって英語でなんて言うの?」
もう殺される。ビン・・・なんだっけ?(ボトルだよ。いざとなるとでないねぇ。)
おばちゃんは「ええい、もう、私持ってくるわ、ビン」さっと冷蔵庫に行き、すっとビンビールを見せるその笑顔に隠された目の奥には「内閣調査部別班」の文字がが見え隠れする。
スパイ同士の国際交流。モサド達も笑顔で「オーケー、オケー、アリガト」
ふう。殺されずに済みそうだ。
さて、こちらは時間だ。席を立つ。
「ハブアナイスディナー」と言って挨拶すると、「アリガト、アリガト」とみんな手を合わせて頭を下げてきたので思わずこちらも手を合わせて「ユーアウェルカム」と返す。
なんであの合掌が日本人のイメージになっているんだろ。あれだ、「おもてなし」だ。面倒なことになったもんだと、暖簾をくぐり店を後にする。
ホテルに着くと服がやたらと煙たい。ああ、あの時の国際交流か・・・違う、肉だよ。肉。
・・・どんな味だったっけ・・・もう一度行くしかない。龍園。
ほんと、英語云々の前にネタがないと話せないな。地理、世界史必須。国語力の問題。
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