久しぶりに印画紙を購入しようかと思い、さまざまなショップを巡ってみた。
が、なんだ、この値段は!と言うほど値上がりしているのと、数が減っている。
「選べない」、「高い」はフィルムの話だと思っていたら、印画紙の方がひどかった。
ひどい男
目次
モノクロプリント
モノクロ自家プリントを始めたのは2007年で「二人展」をするために必要に駆られてだった。
あの頃は勢いがあった。怖いもの知らずだった。
フィルム写真を本気で始めたのが2006年なんだけれど、楽しくて、楽しくて仕方がなかった。
モノクロフィルムが好きになり、ライカが好きになり、本数も増えてフィルム自家現像を始めた。
2006年の夏に東京都写真美術館で「ダークレス」という富士フイルムが当時まだ販売していた簡易現像キットを使う「夏休み親子モノクロプリント教室」のようなものに参加して、初現像、初暗室を体験した。
初プリントを見て、驚いた。
これがモノクロプリントか・・・と。
すると、サービスプリントでは全く意味がないことに気づいた。(コントラストが高いため、黒つぶれ、白とびが激しく、レンズの良し悪しも分かったものではないし、すぐに退色してしまう。)
プリントもこだわりたいと思うようになったが、引き伸ばし機を持っていなかったのでプロラボにお願いするようになった。
プリンターの方から「きれいなネガに仕上がっていますね」と言われて鼻が高かった。
RCペーパーからバライタまで試してみた。
ああ、モノクロプリントって素晴らしいと悦に浸っていた。
が、イマイチ、モノクロプリンターの方と息が合わなかったと言うか、萎縮してしまい、プリントについてよく話ができなかった。
よって、プリントは価格に見合う、素晴らしいものだったが、納得できないという不全感が残った。
引き伸ばし機との出会いと二人展
2006年末に「二人展をやらないか」とお誘いを受け、ある程度の枚数のプリントが必要になったことと、何としても自分のプリントを飾りたいという思いが強まった。
そこに親族から、以前使っていたけれど、今はもう使わなくなってしまったからと、無料で引き伸ばし機を手に入れることができた。
世の中、わからないものだと思った。必要な時に必要なものが手に入った。
必死にプリントを勉強して、やっとプリントにこぎつけ、自分のプリントを飾ることができた。うれしいこと、この上なかった。
二人展をしていてうれしかったのは二回見に来てくれた人がいたこと。
ここでいい写真を見たからもう一度見たいと思って友達を連れてきたと言ってくれた。オーストラリアから来日しているという若い男の子だった。
うれしくてうれしくて。
つたない英語で会話して、最終日だったので「好きなプリントをあげるよ」と提案したら、これがいいとすぐに指差してくれて、それを差し上げようとしたら「サインして欲しい」とお願いされた。
サインなんてしたことないことなかったので適当に書いたが、うれしくてうれしくて。
あれ以上の喜びは今もってない。
自家プリントしかしない
大幅にプリントする枚数は減ってしまった。理由はモチベーション=展示などをしていない。
また、自身のハードルが高くなってしまった。これをプリントするのか?と自問するようになった。
つまり、プリントするほどの写真なのかと。
しかし、プリントするからには印画紙が高いから・・・とは思わない。買う時に躊躇するけれど。100枚で2万とか・・・。
家族写真などは迷わずプリントしている。親類の結婚式にもモノクロフィルムで撮り、自家プリントを送った。とても喜んでくれた。
親類が「今の時代、デジタルカメラ、スマホだから、みんな撮っているんだけれど、全然、プリントが送られてこないから写真が見られない」とぼやいていたのが印象的だった。
引き伸ばし機は一般的な学生が使う程度のものだけれど、手に入れて以来、お店にプリントをお願いしたことはない。自家プリントしかしない。
モノクロフィルムで撮る理由は自分で撮影して、自分で現像し、自分でプリントできるということが大きな理由でもある。
デジタルでも同じだと思う、撮って、現像して、プリントする。
人様に、特にプリントにこだわっている人にはお見せできるような代物ではないけれど、自分で撮ったものを自分でプリントして飾るというのは言いようのない満足感がある。
どんどんバライタ紙を使う
RCペーパーも使いこなせないのにバライタなんて100年早いなんて文言を時折、ネットでも見かけるけれど、そんなことないと思う。どんどん使うといい。
私は人のことなんて気にせず、自分が納得できるものを使って行きたい。手に入れたい。
バライタ紙を使ったら、その存在感たるや、RCペーパーの比じゃない。これこそモノクロプリントと感じると思う。
繰り返しになるけれど、私のプリントは「拙い」「稚拙な」ものだけれど、私は満足している。
自己満足の極み。趣味の世界はそれが一番大切だと思っている。
それにフィルム関係は今使わないと、すぐに値上がりして、高くて買えなくなる。すでに買えない値段の印画紙も出てきた。
デジカメが買える値段の印画紙を買うのだ。しかし、これこそ価値観の相違。趣味の世界だ。
コストを秤にかけるようなことはしない。 コスパが悪いのが趣味なのだ。コスパが悪ければ悪いほど楽しいのが趣味なのだ。
モノクロプリントへの誘い
躊躇している人へ。今すぐ、始めるべき。今すぐ、引き伸ばし機を手に入れてプリントを始めるべき。
部屋の大きさが・・・とか、臭いが・・・というのは言い訳だ。
もちろん、多くの人が酢酸の臭いが家族からダメ出しが出て、デジタルに移ったというのを見聞きしている。
それならデジタルでプリントすればいい。
必要なものは自分で撮ったフィルム。
お父さん、おじいちゃんが撮ったネガが出てきたと言ってプリントすることもできるし、実際にした人もいっぱいいる。
すごいロマンあるよね。考えるだけでもゾクゾクする。
モノクロ自家プリントに必要なもの
引き伸ばし機
なんでもいいと思う。中古カメラ屋さんの端っこにひっそりと置かれているかもしれないし、オークションでもいい、私のように親族が持っているかもしれない。
引き伸ばしレンズ
50mmと75~80~90mmを一本ずつ持っていると便利。大きく引き延ばすのと、小さく引き延ばすのに使える。
このレンズは名玉ぞろいなのでミラーレスで撮って楽しんでいる人もいるのかな。
私は貰い物のニッコール50mm f2.8と買い足したローデンシュトックのロダゴン80mm f4の二本。中古で十分というか、新品で売っているんだろうか。
あった。
印画紙
水洗の短さなどからRCペーパーの方が扱いやすいが、もうこの際いきなりバライタでもいいと思う。
バット
あの、映画とかで出てくる、赤色の部屋でゆらゆらするところ。6つ切り(A4程度)ならそれより一回り大きい4つ切りが使いやすい。
竹ピン
印画紙を挟んでゆらゆらするものね。なぜ竹ピンなのかはわからないな。現像、停止、定着と3本欲しいというか3本セットになっている。
ビーカー
1リットルのもの。100均で十分でしょ。こだわる人は現像用の買えばいい。
温度計
専用じゃなくて、こういう水温計の方が使いやすいんじゃないか。
プリントを干すのは私は細いワイヤーを100均で買ってきて、その都度お風呂場に通して、洗濯バサミを通してそれに挟んで干している。
コンタクトプリントなんてかっこいいよね。憧れで始めるのも悪くない。
バライタの乾燥にはコットンペーパーのクロッキーブックに挟んで、重しとして、好きな写真家、ジャンルーシーフの写真集を載っけてる。
いい写真になるようにおまじない。
前はブレッソンだったり、ブラッサイだったり、サルガドだったり。アジェもよくなるかもよ。
超おすすめ。安い!大きい!
もちろん、レンタル暗室も
使ったことがないからわからないけれど、お手軽さは自家プリントの上を行くと思う。
ただ、好きな時間にできないというデメリットもあるかな。料金もそこそこかな。
写真教室の撮影から現像、プリントまでのものに1日参加してみるのも面白いし、勉強になると思う。どう?モノクロ自家プリント。やるなら今しかない!