旧Elmarがやってきた。いわゆる、C. P. Görz=Goerz(ゲルツ)製のガラスを使ったElmar。
長かった。これも。やっときたと言う感じ。やっと買えたって感じか。
これも10年越し。
存在はずっと知っていたが、どうも決め手にかけるというか、わからない。どれが本当の旧エルマーなのかと。
多分目の前を過ぎ去ったのも結構あったんじゃないかと思うが、その時は欲しいものが違ったんだと思う。
本気で欲しいと思い始めてから半年ぐらい待ったかな。
そしたら出物があったので即決した。
旧字フォントのものを探していたので何回かスルーした。
目次
スペック
重さ |
108g(実測) |
ピント |
1m〜無限 |
レンズ構成 |
3群4枚 |
絞り |
F3.5〜18 10枚絞り |
フィルター径 |
19mm |
マウント |
Lマウント |
製造年 |
1926~1928 |
私の個体の鏡胴番号はNo.3で焦点距離が48.6mm。
現在の50mmレンズは全て51.6mmなので3mmも広角。
参考までに新Elmarと長さ比較。
左が旧Elmar、右が新Elmar。
旧Elmar(鏡胴番号3)はかなり短い。約30mm。30mmより短く29mm〜28mmぐらい。
新Elmar(鏡胴番号6)は約32mm。1933年製。No.15万台。
重さは103gと113gと違いがある。
ちなみに参考までにHektor 5cm f2.5。
Hektor 5cm f2.5ショート(鏡胴番号2)は高さ約32mm。(A型からの改造)
一般的なHektor 5cm f2.5は同約36mm。1933年製。No.16万台。
本来、新ElmarとショートじゃないHektorは同じ焦点距離なはずだが?
これは不思議。果たして?ご存知の方がいたら教えて欲しい。
フォントがいいよね〜。古いエルマーって感じ。
エルマーの歴史
さてElmarの歴史を少し。
ツァイスを辞めたオスカー・バルナックさんは試行錯誤して、1925年にLeica A型を発売。
この時のレンズはLeitz Anastigmat 5cm f3.5で3群5枚。そう、3群4枚のElmarより1枚多い。
後ろ玉が一枚多い構成。Leitz Anastigmat 5cm f3.5はおおよそ最初の150台についていた。
そして、Elmax 5cm f3.5へ変更。こちらは中身はLeitz Anastigmat 5cm f3.5と変わらずで1000台。つまり今、A型から取り外して売っているのもこの1000本のうちの1本。
Elmaxについては相当偽物が多いという。
私の感覚だとElmax 5cm f3.5レンズのみで100万円ちょっとぐらいかなと。2020年現在。
A型についているともっと高くなるのかな?
A型が売れまくってレンズがElmaxは3群5枚という"贅沢"仕様のため、製造が大変だ!ということで、1枚減らしたのがElmar 5cm f3.5。いわゆるテッサーコピーな。絞りの位置を変えてパテント逃れとか言われてる。
これが1926年。たったの1年でのレンズ交換だ。当時にしてみるとすごい売れ行きだったのだろう。
1926年にGörz(ゲルツorゴルツ)からガラスを供給してもらって作られた、このElmar 5cm f3.5は現在「旧Elmar」と呼ばれている。製造はゲルツのゼントリンガー光学硝子工場。
この旧ElmarをつけたA型はシリアル1300番台あたりから12,000台から13,000台が作られたらしい。
1928年からはSchottからガラスを供給してもらい、ここで新Elmar 5cm f3.5が生まれる。今現在多く中古カメラ屋さんにある、ElmarはSchott社のガラスということになる。
(私の個体はこの1926年から1928年製造のA型についていたものとなる。)
旧Elmarの本数としてはおおよそ13,000本ぐらいとなる。
わかりづらいかも知れないけれど、Schott自体はZeissを含めた人や会社が作った会社ね。
えっと、京セラZeissも富岡でSchott製ガラスだったよね?
新エルマーもSchott、京セラZeissもSchott。Schott万歳。
Schottは現在も存在している。
今の現行ライカレンズ はどこのガラス使っているのかな?HOYAとか日本製だったら熱いよね。
ちなみにこのフィルターのガラスはSchott製とのこと。
このフィルター径の刻印がなければなー。
こちらもよろしければ
本当に旧Elmarなの?
これね。これが一番気になるよね。
私は旧Elmarと思い込んでる。ほぼ間違い無いと。満足している。
私が普段利用していた信用のある修理屋さんでのOH済みであること、また私が信用しているお店であることを理由に買った。
OHしたと言うことは修理時に中を見ている。修理人なら何かしら知っている。
お店が旧Elmarには自信があると言うことを以前お話を伺っていたので信用できた。
それだけ。
自分が分解したわけじゃないし、例のネジ切りとか色々条件が揃っていても、今となってはガラスがGörz製かどうかなんかわからないだろうし。
じゃあC.P Görz(ゲルツorゴルツ)ってどんな会社なのさ
1886年に創立。
1889年、写真用レンズを製造開始。
1892年、Emil von Hoegh(エミール・フォン・フーフ)が就職し、「ドッペルアナスチグマート」の特許を購入する。
1904年、かの有名なDagorを販売。
第一次世界大戦中(1914-1918年)は軍用品を製造。
1926年、1925年の大不況の結果、Carl Zeiss、Icca、Contessa-Nettel、Ernemannと共にZeiss Ikonを設立。
Ernemannには1920年からあのBerteleが設計者として在籍してるので、そのままZeiss Ikonへ。Sonnarだ。
その後、Görzはアメリカ支社がSchneiderに吸収される。
あんまり存在は知らなかったなー、旧Elmarを知るまでは。
私が知っている旧Elmarの見分けかた
私個人が調べて分かったことは以下の通り。
1、鏡胴番号が0、1、3であること。
0=50.5mm
1=49.6mm
3=48.6mm
2、シリアルがない。
この方が絶対に引っかかるね。参考になりました。
あとは、今回のような古いフォントだからと言って確実に旧Elmarとはいえない。
あとショートElmarだからと言って旧Elmarというわけでもない。
私がわかるのはこれぐらい。
あとは今回は自分の新Elmarの前玉と比べてみて、分かったのは前玉の"雰囲気"(=思い込み)が違う。
前玉を押さえているリングが違う。右の形をした旧Elmarもあるとか。
ネジ切りの違いはあるのか無いのかわからない。(ケンコーのUV19mmフィルターはねじ込めた)
また当然だが純正の"FIXTA" Y0フィルター 19mmねじ込みも問題なかった。こちらは1933年から発売のもの。同じ19mmのUV、"FIORE"が欲しい・・・。
モノクロで使うにはFIXTAでもいいんだけれど。
そうそう色付きフィルターがA型販売当初には付属していたらしい。
理由は1925年ごろのモノクロフィルムは今のすべての色に反応するパンクロマチックではなく、赤色に反応しないオルソマチックだったからと。
色々不便な時期だったのね。
実際に装着してみた
これが一番スッキリしているかな。
このフード高いんだ。困ったね。3万コース?今。
でも、フードつけないと厳しいだろうなー。撮る時はフードつけて、見せびらかす時はフィルターだけで。
また拾いたい。
果たして、「旧」Elmarは「新」Elmarと違うのだろうか。すごく興味深い。
もし1926年製ならあと6年で100年経過するレンズとなる。1928年製でも92年経過している。
現在手持ちのレンズで一番最古のレンズとなった。
しかし、旧Elmarって普通の?Summicronと比べて高騰しないね。ちなみに程度のいい固定Summicronより安い。
それなら旧Elmarを買った方が満足度高いと思った。
もしSummicronが欲しいなら沈胴買えばいいしね。え?固定も欲しい?両方買えよ。な?
こんな感じだった。