最近はまだ新年にもなっていないのに新年初売りなんてのも見かけるがふざけるなと言いたい。今年はまだある。初売りは初売りで別に買うよ。
今年の大本命。命をかけていたと言っても過言ではない。いつかいつかと先延ばしになっていたのは否めないが年末になってとても焦ってきたので駆け込んだ。しかし、振り返るとHASSELBLAD SWCのBiogon 38mm f4,5といい、今年は広角の一年と言ってもよい。
Biogon 21mm f4,5
ついにやって来た。Biogon。本来の対称系のレンズ構成はこのレンズ。祖先に航空写真用のAbiogonがある。国産レンズ以外で戦後のレンズは久しぶりに買った。
状態としては外付けファインダー付き、前後キャップ付き、レンズの曇りはほぼなくチリ程度、絞りリングも軽すぎず、外観も綺麗なほうだと判断した。
これで片手で買えたのはラッキーとしか言いようがない。あるお店では20万超えていたから。超美品なんだろうけれど・・・。
さて、このBiogonはシリアルから1953~59年製(もっと詳しい本が欲しい!)で、Tコーティングはない。
アメリカの写真家マーティン・シュナイダー曰く、「医学のペニシリン、航空工学のジェット駆動、写真のビオゴン21mm」と言われているぐらい高性能ということ。
参照;"コンタックスの全て";ハンスユルンゲン・クッツ P295より
この本はいいぞ、本当に助かっている。しかし、まだ足りないのだ。
ボディとの互換性
2017.12.31 後ろ玉が干渉してつけられない件について訂正しました。ご指摘ありがとうございます!
ボディはContax IとIIしか持っていなくて、戦前のBiogon 3.5cm f2,8を使いたいがためにContax IIを買った。
IIaのボディには戦前のBiogon 3.5cmはIIaからフランジバックが変わったので→ボディサイズが違うので(訂正)後ろ玉が干渉してつけられない。
このBiogon 21mmはよくIIaについているのを見るので、このレンズもまさかContax IIには付かないのではと危惧したが、現物合わせで問題なかった。
またフォロワーさんからも情報を得ることができました。ありがとうございました。
外付けファインダーもかっこいいだろ?
後ろ玉には宇宙がある。果たしてこのレンズにフードはあるのだろうか・・・。見たことも聞いたこともない。
被写界深度目盛について
これだけの超広角レンズなら、f8とかに絞ってバーンでいいと思うのだが、つまり被写界深度目盛を利用して撮るということだが、このレンズには絞り環による"被写界深度目盛"があるようだがどうもおかしい。
よく見るとf4,5は8時と4時に、f5,6は7時と5時にある。
しかし、f5.6のところに無限を置いて見ると反対側のf5.6には3ft(約90cm)ちょっとを指している。
え?こんなに深いか?と思って、手持ちのSuper Angulon 21mm f3.4で確かめてみるとf5.6の時に無限にすると4ft(約1.2m)手前なのだ。あれ?この被写界深度目盛って?どうなの?
Biogonのf5.6の被写界深度目盛りはSuper Angulonのf8の時と一致する・・・。?果たして?
この鏡胴と似ているものとして戦後のBiogon 35mm f2,8とかPlanar 35mm f3,5があるので買って確かめるしかない?
お作法
最後にBiogon 3.5cmも21mmもボディにつける時はレンズもボディも無限にしてからつけるように。これを知らずにいてBiogon 3.5cmで装着に苦労した。
戦争と光学機器
さて、戦後のCarl Zeissを語るに外せないのが東西分裂。もう今はないがもともとは東ドイツ側にCarl Zeiss Jena(つまりイエーナ地方のカールツァイスという意味)はあった。
1945年にはソ連の統治下に置かれたがアメリカもツァイスの光学技術を欲しており、ソ連に先んじてイエーナに侵入し1945年6月24日(ドイツ降伏は5月8日)に125名の技術者とその家族を拉致、8万枚の図面も持ち去り、オーバーコッヘンに移動し「Zeiss Opton」として生産を開始。
ソ連はイエーナに残った工場を接収し、技術者をソ連に送る。結果ソヴィエト、ロシアレンズにツァイスコピーが多くなる。
参照;https://ja.wikipedia.org/wiki/カール・ツァイス#東西分断
第二次世界大戦がなければ、今、売れっ子のオールドレンズ入門のグルグルボケで有名なHelios 58mm f2は生まれなかった。
これは戦前からあるツァイスのBiotar 58mm f2のコピーだ。ありがたく使わせてもらいたい。
屍の上に君のレンズは成り立っているのだ。グルグルボケをよく見てみろ、人々の叫び顔に見えてこないか?
今回のBiogon 21mm f4,5は戦後の混乱期を経て作られたもので銘柄は戦前のCarl Zeiss Jenaではなく、Carl Zeissとある。
戦後の東西分断で東ドイツではCarl Zeiss Jenaで西ドイツはCarl Zeissとなる。
細かく書くと西ドイツのZeiss Optonは1951年から1953年までで、その後はCarl Zeissへ。だから今回のBiogon 21mmは西ドイツ製。
あと大人気レンズのFlecktgon 35mm f2,4はJenaって書いてあるから東ドイツ製ね。
Contax IとIIは戦前のCarl Zeiss Jena(イエナ地方のカールツァイス)でボディもレンズも作られていたが、戦後すぐの1950年にIIaは西ドイツで製造、同時にレンズは東ドイツでも多くが作られたという。
参照;https://ja.wikipedia.org/wiki/コンタックス#純正レンズ
あー、これも読まないと。
ツァイスっていいですね
はー、ツァイスは大変だ。でも好き。今回この記事を書いたおかげでIIaが欲しくなってしまったじゃないか。
すると戦後のSoonar 50mm f2とかも欲しくなり、Topogon 25mm f4とかも欲しくなり・・・ああああああ。
ベルビアの発色を余すところなく活かすようなレンズ